生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
胸に手を当て、突っぱねようとするのを無視して寧ろより密着させるように腰を引き寄せる
身動きが取れなくなったセナは更に真っ赤になると恥ずかしさからか小刻みに震え出した
その小動物のような愛らしい姿が、堪らなくローの心を鷲掴んでいく
「セナ」
「…?ふ、ッ?!」
名を呼ぶと、伺うように上げられた顔に唇を寄せた
食むように小さな唇に噛み付けば、いきなりのことに目を丸くして抵抗していた腕は胸に添えられるだけになる
『『ああーもうっ、この人は』』
またもや傍観者とされてしまった3人は大仰に肩を落とした
別に傍観者になることは構わない、自分たちの役回りはいつだって脇を固める雑草のようなものだ
しかし見せつけられるだけのこちらの身にもなってほしい
なんといっても、3人だって立派に健全な男の子なわけである
ましてやペンギン・シャチからすれば、ずーっと側に居た幼馴染の女の一面を幾度となく見せつけられているわけであって
全く意識するなという方が無理である
後が怖いので絶対にそんな血迷いはしないけれど
ちなみにベポまで肩を落としている理由は2人と少し外れていて
『セナがメスのクマだったらなぁ〜〜〜』
ベポの恋愛対象はあくまでメスのクマなので、セナがピンポイントに対象とはならないのだが
普通に友人として見て、そしてローの態度を見る限りセナはいい人間の女だと分かる
だからこそ、ベポなりの切実な願いであった
しかしローとは一番長い付き合い故の勘も、きちんと働く
何にせよセナに関わることは今は言わない方が身のためだと
***
「キャプテン、しつこい男は嫌われるよー?」
「うるせェ…ベポでもバラすぞ」
「もうさっきバラしたじゃんか」
あの後本気であの場へと押し倒そうとしたローに、恥ずかしさの頂点へと昇りつめたセナから頰に平手打ちがお見舞いされてしまう
お陰で生徒会の仕事は全員捗ったのだが、やはり空気はやけに重かった
帰り道外に出たと同時に、シャチとペンギンは深呼吸をしたくらいだ
「もう怒るなって」
「怒ってない」
「いや明らかに怒ってるし…仲直りしろよー」
幼馴染の2人は先をズンズンと歩き進めていくセナの両サイドで、どうにか説得を試みるが聞く耳持たない
「あれ、キャプテンどこ行くの」