生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
『何してんだ』
満開の桜並木の下、ピンク色の雨が降る中で
見つけた姿に、何故かあの日の少年と重なった面影
だからあの時不安で不安で堪らなかった、それなのにどうしてだろう
実は少しだけ嬉しくて泣いていたことを思い出す
『ついてこい』
誰かも知らない相手に、人はそこまで親身になってくれるだろうか
人生で二度と、そのような相手に出逢えるものだろうか
けれど包み込むような大きな手のひらに引かれて、運命の歯車は再び動き出したのだった
「ねぇ、ロー」
いつでも私の側には貴方が居てくれる
だから私は歩き出せた
こうして、今でも
「助けてくれて、ありがとう」
「…なんだ急に。別にまだ、助けてねェ」
先ほどまで文句を言っては怒っていたはずなのに
ふと柔らかな眼差しで此方を見ているセナに、ローはほんの少し目を瞠る
そして、目が離せなくなってしまう
どうしてこうも、人の心を惹きつけて離さないのか
コロコロと花のように変わる表情を、一瞬でも見逃したくない
全てを腕の中に閉じ込めておきたいと、柄にもなく何度でも思ってしまう
「今のは昔の私からのお礼。あの時、まともにお礼も言わず町を離れたから」
「…だからなんなんだ」
「怒らないで?それと、これは今の私からね。
私をまた、見つけ出してくれてありがとう」
瞬間、全身に柔らかな温もりが広がった
それはセナに抱き締められたのだと、すぐに気付く
特に目を通すこともなく意味をなしていなかった書類を机に置いて、小さな背中に腕を回した
胸元に埋まっていた顔が上げられ、黒く輝く瞳にローが映り込むと瞳は優しく細められる
「見つけたのは、偶然じゃねェ」
「え?」
「俺はずっと、あの日からお前を探していた…見つけられて、当然だ」
前髪を優しくかきあげて、額に口付けを落とすと
ぎゅっと目を瞑って、全身に少し力が込められる
そんな姿に押し倒してやりたい衝動に駆られる、が
「あー俺たちホント蚊帳の外」
「いつものことだろ」
「キャプテンでもあんな顔するんだねぇ」
放置されていたシャチ・ペンギン・ベポの3人がいよいよ状況に飽きてきたのかワザとらしい会話を繰り広げだした
「テメェら…」
腕の中のセナは此処が生徒会室で、3人が居たことを思い出し真っ赤になるとワタワタし始めた
「ロー!離してッ」