生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
周囲で見守っていた生徒たちが、何故か皆一様に2人に対して拍手を送り
中には涙を流している者も居た
それは身近な存在からも例に漏れず
「ゔうっ、会長ぉっ…カッコいいっす!」
「マジで一生ついて行きます!くぅ〜いい男だなぁ!」
シャチとペンギンが肩を組んで男泣きに勤しんでいる
傍らに立つベポは嬉しそうにそんな光景を見守っていた
「チッ、大袈裟なんだよ」
突然の拍手で、周囲に人が居たことを思い出したセナは顔を真っ赤にして
ローの手のひらから逃れようと身動いでいる
「ロー、離して…!」
「あ?…仕方ねェな」
残念そうに言いつつ、一瞬ニヤリと笑ったかと思えば頰から手が離れた
ホッと安堵の息を吐いたのも束の間
「?!きゃっ!」
突然身体が宙に浮き、ローの横顔が至近距離にあった
その端正な顔立ちは、面白そうにニヒルな笑みを浮かべている
どうやらお姫さま抱っこをされているようだと認識したはいいが、この状況ではさらに恥ずかしい
「なんでこうなるかな?!」
「ちゃんと手は離してやっただろう」
「もうまたそんな…ねぇ、降ろして?」
「断る」
そのまま廊下を歩き出すローに、周囲の人間が道を開ける
まるで花道のように両側に人が立ち尽くす間を、セナを抱えたまま悠々と歩み進めていく
セナは恥ずかしさに赤くなった顔を両手で隠して耐えるしかなかった
「シャチ、ペンギン、ベポ。置いてくぞ」
「あっ、待ってよキャプテン!」
「置いてかないで!」
「会長ぉ~!」
セナを抱えたまま、振り向くことなく声を掛けると
ローの背後をドタバタ2人と1匹が後を追う
そんな一連の出来事を、見送った生徒たちはなんとも微笑ましい気持ちで思い思いの行動に戻っていった
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「悪いなベポ」
ベポが先回りしてドアを開けると、両手の塞がっていたローはそのまま生徒会室へと足を踏み入れた
そこでようやく、セナを床へと降ろす
「もー…なんでいつもこう」
「不服なのか?」
「不服ってわけじゃないけど…恥ずかしいの!」
ぷくぅっと頬を膨らませて、不思議そうに首を傾げるローを睨みつける
本人は至って、怖い顔をしているつもりなのだが
ローは内心フツフツと欲が沸き起こりそうなのを必死に抑えていた
「会長って女心…てかセナ心に疎いよなぁ」