生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
それから何事もなかったかのように六限目を無事に終え、帰りのHRも無事に終えた
生徒会室に向かうため、荷物を詰めていると
シャチがなにやら顔を緩ませて、セナを振り返る
「なに、気持ち悪い」
「なんでいつも俺だけ扱い酷ェんだよ!」
「はいはい、なにかいい事でもあったの?」
「明日、お前主役じゃん?」
「…?」
幼馴染の意味のわからないセリフに、思わず胡乱げな表情をしてしまう。返す言葉も見当たらない
「あれ、華麗にスルー?もしかして忘れてる?オイオイまじかよ!」
ニヤケながら訳のわからないことを言ったかと思えば、今度は焦ったように立ち上がり1人オロオロし始めるシャチ
「…情緒不安定?」
「いやいやいや!お前、明日…っ」
バンッと机に手を着くと、廊下まで響き渡る声で叫ぶ
「明日、お前の誕生日!!!」
クスクスと笑う者や、気にも止めていない者など様々居る中で
シャチの言葉にピクリと反応した者が1人
「それでなんでシャチが嬉しそうなのよ」
「誕生日といえばサプライズ!今年はアッと驚くヤツ用意したゼ!」
「いやそれ毎年聞いてるし。そして毎年ビックリしないじゃない」
「それはお前のポテンシャルの問題だろー!」
ギャンギャン喚くシャチを鬱陶しげにあしらいながら席を立つと、廊下に立ち尽くす生徒に気付く
「ロー?」
「あれっ、ホントだ。…ベポも居るじゃん!ベーポー!!」
「あっシャチだ!久しぶり〜」
こちらに気付いたベポが手を振ると、シャチは猛突進を繰り出した
相変わらず子どもっぽい彼に、セナは微苦笑しながら後に続く
窓側にもたれ掛かっていたローの前に立つと、顔を覗き込むように見上げてみる
「?どうしたの」
「なにがだ」
「なんか不満そうな顔してる」
いつも真っ直ぐ引き結ばれているローの唇が、ほんの少しへの字に曲がっているのを見逃さなかった
なんだか小さい子どもが拗ねているようで、セナは微かに笑ってしまう
その事にさらに眉間に皺を寄せると、フンと鼻を鳴らし顔を逸らしてしまった
そのことに余計、笑いが止まらない
「そんなに怒る?」
「…当たり前だろ」
怒っていると分かるのなら、何故今まで言わなかったのか
そう、明日がセナの誕生日だということを
「愛されてるのね」
「あ?何を今更「ベポくんってば幸せ者!」