生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
「何か怖ェことでもあったのか?」
「ハァ…麦わら屋」
「ん?あっ!トラ男!俺たち能力使えるようになってるぞ!」
「知ってる。だからといって無暗に能力を使うんじゃねェ」
「ええーなんでだよ?」
さっきまで散々降ろせと喚いていたセナが首元に顔を埋めたまま動かない
ローは後頭部をあやすように撫でてやりながらも、一瞬ルフィの頭に拳をお見舞いした
「ってェ!なにすんだ!」
「副会長という立場を弁えろと言ってるんだ。この学園には能力者ではない生徒も大勢いる」
「けどよ、使えるようになったんだし」
「もう一発欲しいか?」
拳を握りしめたローに、ルフィがサッと麦わら帽子を押さえて渋い顔をした
そうこうしていると、ようやく落ち着いたのかセナが顔を上げる
「さっきの、なに…?」
「麦わら屋は、ゴムゴムの実の能力者で」
「全身ゴム人間なんだよ、オレ!」
「ゴム人間…?」
薄っすらと涙を浮かべた瞳でルフィとローを交互に見遣る
ルフィはケタケタと軽快に笑いながら、身体のあちこちを引っ張って見せた
見た目は至って人間の身体なのに何処もかしこも、異様なまでに伸びるものでセナは目を丸くする
「にしし!スゲーだろ!」
「凄い…悪魔の実って、不思議だね」
ルフィのような普通の人間の身体をゴムに変えてしまったり、ローのように物体を移動させたり人体を改造できるようにしてしまう
それはまさしく"悪魔の実"という名が相応しい
「キャプテーン!」
「お!クマじゃねェか!」
「麦わら久しぶりだな!って俺はクマじゃねェ、ベポだ!」
ローの愛刀を取りに戻っていたベポが、その巨体には似合わないスピードでローの元へ駆けつける
相変わらずなルフィにツッコミを入れたところで、セナを見て首を傾げた
「あれ、セナどこか痛いの?」
「え、なんで?」
「だってまだキャプテンに抱っこされたままだからさ!」
「!!」
「…チッ、余計なことを」
「余計なこと言ってスミマセン」
ルフィの登場によりすっかり降りることを忘れていたが、ベポの一言によりようやく地に足をつける
そのときチャイムが鳴り響いたので、セナは慌てて教室へと消えてしまった
「ごめんね、キャプテン…」
「気にするな。さっきのは冗談だ」
落ち込みまくるクマを慰めつつ、ローも教室へと足を向けた