生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
保健室からだいぶ距離を置いた廊下で、セナが足を止めた
それに気付いたベポが足を止めて近寄る
「セナ大丈夫?」
「あはは…私、体力、なくて…」
「キャプテン、俺がおぶって…あ、アレ?キャプテン?」
「?!ロー?」
先を進んでいるものだとばかり思っていたローが、いつの間にかセナの側に膝をついていて
そしてそのまま、姫抱きの状態でセナを抱え上げた
「キャプテン?俺おぶってもいいよ?」
「いや、いい。コイツは俺が運ぶ」
「や、あの…まず歩けはするんだけど」
別に怪我をしたりしたわけではないので、呼吸が落ち着けば再び自力で歩けるのだが
今のローには、既に耳まで届かぬ話
これ以上ベポと密着させるかと、人知れず嫉妬の炎を燃やしているのだ
そのまま歩き出せば、ちょうど5限目の終わりのチャイムが鳴り響く
キーンコーンカーンコーン
―1-C教室前
「もうっ!だから降ろしてってば!」
「暴れんじゃねェ、落とすぞ」
「降ろしてくれれば済む問題だよね?!」
教室の前で生徒会長にお姫様抱っこされて、これまた生徒会の人間がなにやら喚いていると教室の前には人だかりが出来ていた
もはやこの学園で、この2人を知らない者は居ない
「ほらもう…注目浴びちゃったじゃない」
「お前が騒ぐからだろ」
「ローが毎回毎回こんな風に連れてくるからでしょ!」
入学してから今まで、一週間と経っていない今までに
何度お姫様抱っこされて、教室まで運ばれたことか
ただでさえ長身のローは目立つ上に、学園でも信頼と人気を誇る生徒会長なのだ
「今更だろ、こいつらも」
「あのねぇ…「お~~~~~~~~~~い」
完全に開き直ったローの態度に、呆れた様子で返そうとするとどこからともなく声がする
セナがきょろきょろと辺りを見回すと、校庭からこちら向かってなにか伸びてきた
「う、腕?!」
「ああ、」
伸びてきたのは人の腕
その腕は窓枠を掴むと今度は段々と人影が、ものすごいスピードで近づいてくる
「ひゃっほーぅい!」
「きゃあああ!!」
「あ?セナどしたんだ?」
先ほどまで体育の授業だったらしい2年で生徒会副会長のルフィが、校庭から3階の校舎まで飛んできたのだ
ちょっとしたミステリーな状況に、ビビったセナは目の前のローにしがみついている