生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第16章 初めての…(*)
「仲良くサボって保健室でピクニックとは、いい度胸だなァ?生徒会」
時は遡ること数分前、
確かに始めは小声で言い合っていただけなのだが、ヒートアップしたセナが何の気なしに右手を突き出した
「あっ」
その拍子に箸を持っていた肉が宙を舞ったのを見て、見守っていたベポが思わず声を上げる
その声に、2人の視線も肉の軌道を追う
しかし問題はその後だった
ちょうど閉まっていた扉の方に向かって飛んだ肉を、今追っても間に合わない
勿体無い話だが、そのままぶつかり落ちてから拾おうと3人ともが思っていた矢先のこと
ガララッ
閉まっていたはずの扉が開けられ、人影が入ってきたかと思えば、案の定肉がぶつかった
ペチッ
「あ?なんだ?…肉?」
「!ス、スモーカー先生…」
入ってきたのはセナのクラス1-Cの担任で、生活指導の担当でもあるスモーカー
話し声がしたと思って入ってみれば、目の前に広がる光景に、青筋を立てて咥えていた葉巻を噛み締める
そして冒頭のセリフに戻るのだった
腕を組んで仁王立ちしたスモーカーの前に、自ら申し訳無さげに正座をしたセナとベポ
並んでローも正座をしているのだが、その顔に全く反省の色は見えない
しかし時折俯き、何かに耐えるように肩を震わせる
「大体初日からテメェらは」
「白猟屋」
「アァ?なんだ」
俯いて聞いていたかと思えば、顔を上げたローがスモーカーの顔を指差す
そして少しバカにしたような笑いを浮かべて一言
「額にタレを付けたままで説得力のかけらもないんだが」
その一言に、スモーカーが額を拭うと手袋に湿った感触
先ほど入ってきたときに、セナが飛ばした肉のタレが付いたままだったのだ
『『敢えてツッコまず我慢してたのに…!』』
意識しないようにしていたセナとベポは、ローの指摘から笑いを堪えるように、俯き肩を震わせる
そう先ほどから、ローが説教の最中に俯き肩を震わせていたのはこの為だった
「テメェら……さっさと教室に戻れェ!!!」
保健室に響き渡ったスモーカーの怒号
これ以上怒らせるのは危ないと判断した3人は、急いで保健室を後にする
「スモーカー先生めちゃくちゃ怒ってたよ…?!」
「大体いつもああだろ」
「キャプテン勘弁してよ〜!」
保健室から遠ざかりながら、3人は走り続ける