生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第15章 ステキな出会い
小さな箱の中の美しい料理達に、セナは目を輝かせた
先ほどまで泣いていたためか、その輝きはいつにも増してキラキラと煌めく
「サンジさんの料理は、いつもキラキラ美しくて素敵です!」
「そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。けどセナちゃんの瞳の方が、ため息が出ちまうほど美しく輝いてるぜ?」
にっこりと微笑みながら、セナに目線を合わせようとサンジが腰を屈める
が、その視線が交わることはなかった
「え、っと…ロー?」
ローが背後から目元を覆い隠すように腕を回し、ガッチリと胸に引き寄せる
引き剥がそうとしても、ビクともしないどころか寧ろ力を込められてしまった
「何してんだ?」
「…チッ、見んじゃねェ」
「はァ??」
「ちょっ、ロー何言って…「コイツは俺だけのモンだ。気安く近寄るな」
腕の中に収めた身体を、ギュッと抱き込みサンジから隠すように包み込む
その表情に滲むのは、明らかな…嫉妬の色
サンジは呆れたように肩を竦めた
「意外と嫉妬深いのな、お前って」
「?別に嫉妬なんざしてねェ」
「…無意識かよ」
サンジは更に呆れて重く深い溜息を吐く
まさかこれだけ敵意を剥き出しにして、嫉妬深い態度を示しているのに…無意識とは驚いた
「ねぇ、もう離して…」
「断る」
「ええ…もぉ、」
モゾモゾとどうにか腕の中から逃れようとするセナを、ローは逃すまいと余計腕に力を込める
何度か同じようなやりとりを繰り返した後、解放を諦めて折れたのはセナだった
「セナちゃんも苦労するな」
サンジはただただ目の前の和やかな光景を見つめて苦笑する
先ほど学園が以前と姿を変えた
それはきっと、能力を使ったであろうローが関わっているに違いない
それにはセナも、知っていて関わっている
それでも今は幸せそうな2人なのだから、わざわざ口を挟むことはない
2人が話したいというのなら、その時はいくらでも聞こう…仲間たちみんなで
完全に存在を忘れられたサンジが、重箱をそっと置いて保健室を後にした
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ローに全身羽交い締めにされて暫く経った頃、居たはずの人の気配が消えたことに気付くセナ
スルリと隙をついて腕の中から抜け出すと、自分たち以外誰もいなくなった保健室を見渡した
残っているのは宝石箱のようだった重箱のみ