生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第14章 星空は海に沈む
ドフラミンゴが既にセナの居場所をみつけたが、それはたまたま学園の生徒であったからだ
国がセナを見つけるには、まだ時間を稼げるはず
それも珀鉛が無ければ意味がないだろう
ならばこれから一年に一度だけ、ほんの少しずつ珀鉛を取り除く
それから次の一年までは、体力と生気を養わせる
毎年同じ日に、それから先何年かかるかは分からないけれど…そうして地道に珀鉛を取り除けば
将来的にセナの身を国の手に渡さずに済むかもしれない
「でもローの能力は、体力を伴うでしょう?」
「一年に一度なら、たいして俺に負担は掛からねェ。安心しろ」
「けど…」
「つべこべ言ってんな、これは…命令だ」
「命令って…」
例え恋人同士であっても、セナがローに命令される謂れはない
「生徒会長として、学園の生徒を守るのは役目だ。まして、お前は生徒会に所属している」
「それは、そうだけど」
「だからこれは…生徒会長の命令、だ。それに、俺はお前の主治医でもあるからな」
生徒会長だから命令できるとしても、どうしたって無理のある話だ
いつか今は彼女の親友が手を出したとき、彼は医者になる決意を話したことがある
しかし主治医といっても、叶うならば随分と先の話だが…それでも彼は、命ずることを撤回はしない
けれど分かっていた。それが不器用なローなりの優しさなのだと
「…私に拒否権は?ロー先生?」
「ねェな」
「だと思った…!」
呆れたようにセナは笑うと、頰に添えられたままだった大きな手を小さな両手で包み込む
「本当に、ローは強引なんだから」
「すぐに逃げようとする、お前が悪い」
ローからも、生きられる運命からも逃げようとした
逃げるということは、諦めるということだ
諦めることが、死を意味する運命だったロー
それを救ったのは、変えたのは先ほどまで居たコラソンだった
彼のおかげで、ローは今こうして生きる道を歩めている
「逃げることは、許さねェ」
「それは私の運命から?…それともローから?」
「どっちもだ」
「ふふ、そっか」
「なにがおかしい」
クスリと笑ったセナに、首を傾げてローが問いかける
バカにされたような気がしたのか、少し不機嫌そうだ
「私ってば、ローに愛されてるんだなぁって。嬉しくなっちゃって」
「ハッ、今更だな」
「うわ、すごい余裕」