生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第14章 星空は海に沈む
あの頃と変わらない、星空のような瞳が美しくて愛おしい
幼いあの時に初めて見たときから、この輝きを持つ少女を守りたいと本能的に思った
「ガキだった俺は、死しか選べなかった。お前を守れるなら」
「そんな…」
「けど今は違う。こうして触れて、側で…お前を守ることができる」
いつの間にかセナの瞳には再び涙が溜まり、溢れ落ちていた
添えた手に濡れた感触が広がる。ローは構わず、さらに親指で涙を拭う
「もうこの手を離さない。お前は、俺だけを見ていればいい」
奇跡だ運命だ、信じないけれど
今この瞬間は2人の運命であり、確かな奇跡だと思う
「ロー…」
涙を流しながら嬉しそうに微笑むセナ
添えられたローの手に手を重ね、甘えるようにすり寄った
キラキラと輝く星空が次々と溢れる涙の海に沈む
例えこの涙が、海水と同じように能力を奪ったとしても
この輝きだけは、手放しはしない。なにものにも奪わせはしない
ローが心の中で誓うように思ったところで、目の前の表情が影を落とした
「あのね、」
「?」
「私の中の珀鉛は、心臓にあるの」
「…心臓、だと?」
セナを救うため今すぐ、ここで"オペ"を行なって珀鉛を取り出そうと考えていたローは
その在り処に目を瞠り、言葉を失った
心臓といえば人体の要、いくらローには能力があるといえ
むやみに手を出すことは危険である
珀鉛の範囲にもよるが、取り除くために少量を切り取るにしたってリスクが高すぎるのだ
「でもね、私は珀鉛病を発症してない」
「……」
「それにこの珀鉛があったから、ローに出会えて…こうしてまたローと再会できた」
「しかし逆に言えば、いつ発症するか分からねェ」
今まで発症していないから、これからも発症しない保証はない
それこそ、これまでは何かに抑えられていた反動が一気に現れるかもしれないのだ
「そうなったら、私は受け入れるわ」
「珀鉛病はそんな簡単なモンじゃねェ…見た目にも白い跡が目立ち始めるし、激痛も伴う」
「それが私の運命なのよ。…でも絶対に国のいいように使われるのは、嫌」
「ッ…」
国のいいように…それは、確か先ほどドフラミンゴが言っていた
"セナはこの国が求める実験体…そして貴重な財産"
「だから私は、珀「一年に一度だけ」…え?」
「一年に一度だけ、俺が"オペ"を行う」