生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第14章 星空は海に沈む
「早く早く!わたあめ〜〜!!」
「分かった分かった、じゃあそういうことだ」
「えっ、あの…」
目の前で会話がスラスラと進んでゆき、チョッパーを頭に乗せたコラソンがおもむろに立ち上がる
そしてセナが結局一言も声を挟む間なく、保健室を出ていってしまった
取り残された2人の間には沈黙が流れる
先ほどたった一言挨拶を交わしてから、会話をしていないローとセナ
暫く流れた沈黙を、破ったのはセナだった
「決着は…ついた?」
「…ああ」
納得はいかないことだらけだが、取りあえず一区切りはついたと思う
それに今は宿敵だったドフラミンゴのことより、目の前のセナに何から切り出そうか頭を悩ませているところだ
「どうしたの?さっきから、難しい顔してる」
無意識に眉間へと皺が寄っていたようで、立ち上がったセナが近づいてきた
額に伸ばされようとした腕を、思わず強く掴む
「?!なに…」
「聞きたい、ことがある」
掴んだ腕を引いて、小さな身体を抱きしめる
口を吐いた言葉が少しだけ掠れた
「うん、なぁに?」
「昔…フレバンスという町を訪れたことがあるか」
抱きしめた腕の中で、ほんの一瞬身が強張ったのが分かる
少しの間、再び沈黙が訪れた
「…どうして?」
沈黙が破られたとき、たった一言力なく吐き出された言葉ですべてを悟る
少し身体を離して、その表情を見れば今にも零れ落ちそうな涙を堪えていた
「責めるつもりはねェが、何故言わなかった」
「私も気付いたのは最近だから」
「最近?」
「というか、昨日…」
涙が零れる前に指で拭いながら、俯きがちにポツリポツリと話し出す
「ラミちゃんとね、メールしてたの。昨日の寝る前に」
「いつの間に…」
「あ、ナミ経由でね。教えてもらったの」
一昨日セナを追いかけた時に、連絡先を交換していたのだろう
ラミの方から、色々話したいと申し出があったのでやり取りをすることになった
「それで、…あ、」
「どうした」
「…ラミちゃんのこと、怒らないであげてね?」
「内容による」
「怒らないであげて、ね?」
「チッ、分かったから。続きを話せ」
潤んだ上目遣いで、本人は睨んでるつもりだろうが
ローにとっては襲ってしまいたい衝動にしかならない
しかし今はどうにか抑え込んで、話題を逸らすように続きを促す