生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第4章 ここへおいでよ
2人から見てもローはカッコいい。しかしそれを理解してかせずか、当の本人は非常に爛れた生活を送っていたのを覚えている。中学生にして
来る者拒まず、去る者追わず…自分の欲望を吐き出す利害が一致すれば一夜限りの関係でもなんでも受け入れる、そんな人だった
けれど高校に入って、噂はパタリと聞かなくなった。未だ中学生の自分たちの耳に入らないだけだろうと思っていたけど違ったようだ
高校進学を伝えに行けばローが生徒会長になると言い出したのも驚いた。まさかそこに自分たちが再び誘われるとも思っていなかったが嬉しかったのは確かな事実
入学式の最中、ローが登壇し自分たちを呼ぶのをソワソワと待ち構えているとやけに教師側の扉側騒がしいので気になった。シャチとペンギンは胸さわぎを覚え、各々胸に手を当て首を傾げてしまう
すると教師の人混みからローが出てきたため、女子がヒソヒソとざわつき始めた
しかしよく見ると続いて出てきたのはローに手を引かれた栗毛の女の子が1人…不安げに身を縮める幼馴染だった
胸さわぎの原因はこれか!でもなんで会長と一緒に居るのだろう…自分たちならともかく、幼馴染であるセナは彼を知らないはずだ
名前を呼ばれ登壇すれば、不安げに青ざめていた顔が自分たちを見てホッとしたように少し綻んだ
それに自分たちが安堵したのも束の間、セナ越しに見えたローが鋭く恨めしそうにこちらを睨んでいてぎょっとする
明らかにその瞳には、自分たちへの嫉妬心を孕んでいるのが分かってしまったから
「どういうことだよ…」
「分からん…いつの間に知り合ったのかすら」
そもそも自分たち新入生は今日が高校生活初日なのだ
しかもまだ入学式の最中である
「後でセナに聞くか〜」
「あぁ、そうだな」
そうして隣に並んだシャチがセナに話しかけたとき、第一の事件が起こった
明らかにシャチの行動に対してキレたローは、誰も止める間も無くセナへ向かって詰め寄り…キスをしたのだ
その光景に声にならない悲鳴をあげたのは言うまでもなく、シャチとペンギンに他ならない
2人の中に確信が生まれる…ローはセナに惚れている。それも酷くご執心といったところか
しかしそれはどうやら、今はまだローの一方通行のようだ
当のセナは訳がわからないという顔をしているから