生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
「私だって」
「…」
「ローのこと、守りたいよ」
「守ってるじゃねェか」
フッとローの表情が和らいで、セナの頭に自らが被っていた帽子をかぶせた
「俺の戻る場所は、セナしか居ねェ。だから、此処に居ろ。お前にしか守れない」
「そんな…こと、…ッバカ、」
「誰がバカだ」
「どんな形でも私から逃げたら、許さないんだから」
いつもはセナがローに言われるセリフ
幾度となく、側を離れようとした時に"逃げるな"と言われた
その言葉に信用されていないと不安になったこともあったが、今ならその言葉の真意が分かる気がする
"逃げるな"とは"諦めるな"ということ
「ああ、分かった。必ず戻る」
帽子の上から頭をポンポンと撫で、ローは保健室を出ていく
無言で様子を見守っていたレイリーも、続いて出て行ってしまった
保健室に残されたセナと保健医のチョッパー
チョッパーは状況をよく分からないが、セナやローにとって現状はあまり芳しくないのだと感じ取る
しかしどんな言葉をかければ良いのか分からずにいると、ふと身体が浮いた
セナの腕の中に抱えられている
「…セナ?震えてるのか?」
「大丈夫よ、チョッパー…大丈夫」
本当は引き止めたかった
けれど今は、信じて待つしかない
彼を纏う薬品の匂いがする、この部屋で
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「フッフッフ、来たか…ロー」
屋上で、学園を一望していたドフラミンゴの背後に
忙しない足音が聞こえて、止まる
静かに視線をそちらへ向けた
「ドフラミンゴ…てめェ」
「ん?セナはどうした」
「気安くアイツを呼ぶな!」
「テメェの女を気安く呼んで何が悪ィんだ?お前には関係のないことだろう」
ニヤニヤと人をバカにした笑みを浮かべるドフラミンゴに対して、まんまと挑発に乗せられまいとローは小さく深呼吸をする
「セナはテメェの女じゃねェ。俺の女だ」
「それはセナが言ったのか?こりゃあ教育が必要だな」
「何故セナを巻き込もうとする」
「あァ…知らねェのか」
やれやれと肩を竦めたドフラミンゴは、一度空を仰いだ
「?どういうことだ」
「セナはこの国が求める実験体…そして貴重な財産。あの女はなァ
珀鉛を体内に宿してなお、珀鉛病を発症してねェんだよ」