生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
どうやらセナに対する警戒は、完全に解かれたらしい
にぱっと笑ったチョッパーはガサゴソと机の上の鞄を漁る
「これ、やるよ!甘くてふわふわで、めちゃくちゃ美味しいんだぞ!」
「…わたあめ?」
さきほどチョッパーが入ってきたときの甘い香りの正体はこれだったのかと納得する
顔ほどの大きさがあるわたあめを受け取ると一口口に含む
「ん、美味しい」
「だろー!オレわたあめ大好きなんだッ」
「じゃあ今度わたあめのお店行こうよ!」
「わたあめの店なんてあんのか?!…店もわたあめなのかな」
「それは…どうかな?」
店がわたあめだと、色々と問題ある気がする
だが今は夢を持たせておこうと口にはしなかった
ガララッ
「セナちゃんはいるか!」
「レイさん?!」
呑気にわたあめトークを繰り広げていれば、焦った様子のレイリーが顔を出した
セナの姿を見つけると、駆け寄ってくる
「どうしたんですか?」
「いますぐ此処から逃げなさい。生徒会長も一緒に」
「?どういうことだ」
入ってきていきなり、逃げろと言い出されてセナもローも困惑してしまう
「…能力を使った人間が分かったんだよ。トラファルガー・ロー、君だとね」
「「っ…!」」
とうとうバレてしまった
生徒会長自ら、この学園の禁忌を侵したことが
セナはみるみる全身から血の気が引いていくのが分かる
『ローが能力を使ったのは』
元はといえば自分が引き金を引いたのだ
どうすれば、彼の立場を守れるのだろう
「セナ」
「どうしたら…っ」
「セナッ、聞け」
「!」
ローの真剣な声音に、ハッと我に返る
痛いくらいに肩を掴まれて、心まで締め付けられるような気がした
「お前は何も考えなくていい」
「っでも…」
「これは俺の問題だ。お前は、トニー屋と此処に居ろ」
「やだっ、私も行く」
何も考えないわけにいくはずがない
ローに何度も守られてきた
今度は自分も彼を守りたい、そんな意志を秘めた瞳でローを見上げる
「それは、できない」
「…なんで、」
「ドフラミンゴの耳にまで、この情報が入っているからだ」
「え…」
ドフラミンゴは確か、レイリーの嘘で校舎から離れたはず
先ほど判明した情報が、既に耳に入っているはずがない
「だから俺は、ヤツと決着をつけてくる」