生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
ようやくセナの顔に笑みが戻る、ローは内心安堵の息を吐いた
「で、俺たちが来る前。何があったのか、話せるか」
「ん…分かった。でも、怒らないでね?」
笑みが再び消え、表情に暗い影が落ちる
ギュッとシーツを握りしめたのが目に入り、壁に着いていた手を下ろすと重ね合わせた
傷口を抉ることは分かっている。だからせめて、少しでも苦痛が和らげばいい
ローは安心させるように手に力を込めた
セナを怒る理由などあるはずもないのに
記憶を辿って、引き結ばれていた小さな唇が開く
保健室へ向かった理由
その途中でドフラミンゴに出会ったこと
ローに手出しをしない条件で、脅されているとは分かっていたが…決意をしたこと
「ッチ…あの野郎」
自分を脅しの材料に略奪するだけでなく
セナ自ら口付けさせて…心を壊していく非道さ
ドフラミンゴという男は、どこまでも人の心を踏みにじる天才だ
「けど、っん」
続きを話そうと開いた唇に、思わず噛みついて形をなぞる様に舌を這わせる
反射的に瞑られた瞳は、睫毛をふるりと震わせた
「ン、っ怒らないでって…言ったのに」
「お前には怒ってねェ…」
薄く開いた黒曜の瞳はほんのり情欲を灯しているのに、唇は不満げに窘めてくる
素直じゃない唇をもう一度塞いでやろうと顔を寄せれば、片手で阻止された
「分かってるけど、こっちの身がもたないし話も進まないから!消毒はあとで。ね?」
「…チッ」
不服そうに舌打ちをしながら、これ以上歯止めが利かなくなる前にと身体を離そうとしたとき
「…私だって我慢してるんだから」
本人は聞こえないようにと呟いたつもりだろうが、ばっちり聞こえていた
思わぬところで欲を焚きつけられたものの、なんとか抑え込み話を元に戻すように促す
「そう、そのあとすぐにレイさんが入ってきたの」
「…シルバーズ・レイリーのことか?」
レイリーという男も、楽天的なように見せているが腹の底では何を考えているのか分からない
しかしきっとこの流れで現れたということは、少なくとも敵ではないだろう
話を聞きながら、それぞれの位置関係を脳内に描く
「ルフィの担任の先生なんだよね」
「そうだったな」
「多分だけど、助けてくれたんだと思う」
その真意分からない。けれどセナも同じくレイリーが敵ではないと感じていた