生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
「ドフィに会ったって、セナちゃん本当なのか?!」
「コラさん、今俺が「会ってません。私は、誰にも」
コラソンが立ち上がり、ローと並んで覗き込むように此方を見つめる
その表情は焦りや不安が滲んでいて、それを見たセナは心の中で何かを決意したように言葉を発した
「本当に、誰にも会ってないの」
「そんなわけ」
「ねぇロー、信じて?」
先ほどまでの怯え切った表情とは打って変わって、まるで言い聞かせるように安心させるような笑みを浮かべる
その表情は、彼女が堅く決意を揺るがさないときにみせるモノ
『何の力も持たない私が、みんなを守れるのは…私自身でしかない』
ローの身の安全も、コラソンの心の平穏も
もしかすれば、この学園の平和でさえ…自分の身一つで守れるかもしれないのだ
その条件は、たった一つ
誰も傷付かない、自分さえ認めてしまえばいいのだ
「ロー」
「?なん、ンッ?!」
目の前の首に腕を回して、ローの顔を引き寄せると
他に人が、ましてや教師が居る前で噛みつくように口付けた
「これは大胆なお嬢さんだ」
「いや冷静に分析してる場合じゃない!セナちゃん、何して…」
「っハァ」
「ッいきなり、なにして」
レイリーは何も動ずることなく、コラソンが1人慌てふためいている
無理矢理の口付けから、解放されたローは突飛もない行動に文句を言おうとしたのだが
「別れて、ロー」
「……は?」
唾液に濡れたツヤのある唇が紡いだ言葉は、ローの心に残酷に響く
今目の前の愛しい彼女は何と言ったのだろうか。理解が追い付かない…というよりは理解をしたくない言葉だった
「何を言っている?」
「そのままの意味。頭のいい貴方になら分かるでしょう」
「じゃあ今のキスはなんだ」
「…最後の、挨拶」
そこを言及されるとは思っていなかったのか、表情が一瞬悲しみに歪む
どこまでも嘘が下手なのに、彼女は嘘を吐き続けた
「理由」
「え?」
「理由は何だ。俺が納得できる理由があるんだろうな」
「…他に好きな人ができたの」
「ほう」
「だから、もうローのこと…好きじゃなくなったの」
必死に理由を考えて、どうにか納得させようと言葉を紡ぐ
しかしそのどれも、納得できる理由ではない
言葉と裏腹にセナの表情は憂いを帯びているのに、信じろという方が難しい
「お願い」