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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第13章 自由を求める男


セナがあからさまに避けたのはその場にいた全員にも明白で、室内に重苦しく不穏な空気が漂う
それはもちろん、一番にソレを感じ取ったローが不機嫌を隠しもしないでいることが原因の一つでもあるが

「おい」

あからさまに不機嫌な声で呼びかけても、セナは顔を背けたままでこちらを振り向かない
それどころか、どうにか逃げ出そうと身を引こうとしている気がして掴む手に力を込めた

「逃げんじゃねェ」
「いッ」
「生徒会長、力を込めすぎだ」

掴んでいた腕に、レイリーが嗜めるように手を添える
目の前のセナは怯えたように身を震わせていた
咄嗟に手を離すと、その身体を抱きしめようと腕を伸ばす
しかし小さな手にやんわりと制されてしまった

「…ごめ、ん」

ただ俯きがちに謝るだけで、此方を見ようともしないセナに苛立ちが募り出す
きっとこの調子だと、何を聞いても答えないだろう

「あれ、セナちゃん」
「?」
「首から血が出てる」

ふと2人の間で床に座り込んでいたコラソンが声を上げ、セナの首元へ手を伸ばした
一瞬何のことか理解できずにパッと顔を上げると、照明の下に白い喉元が晒される
切り傷でもないような一筋の傷に血が滲んでいた

「?変わった傷のようだな」
「刃物じゃなくて、もっと細いなにか…」

傷の形状を観察しつつ、レイリーとコラソンが首を傾げる
そんな2人の意見を聞いたとき、セナが一瞬表情を強張らせた
その変化をローは見逃さず、肩を掴みベッドに押し倒す
思いがけない行動に、全員が驚いて言葉を失った

「ろ、ロー…?」
「なにを、隠している」
「……」
「怒ってるワケじゃねェ…会ったんだろ」
「何のこと…」

分かっているのか、分かっていないのか
ここまで言っているのに、本当は見当違いかもしれない
寧ろ見当違いであってくれと願う

だがその首元の傷が、現実を叩きつけるのも事実
まるでピアノ線でも巻き付けて出来たかのような一文字の傷


「この学園の、学園長」
「…!」
「え、まさか…!」
「ドンキホーテ・ドフラミンゴに、会ったんだな」

名前を口にした途端、セナの瞳が大きく見開かれた
バレると思っていなかったのだろう

「何をされた」
「別に、なにも」
「嘘だな」

嘘が下手な彼女は、いつでも必死に隠そうとする
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