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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第13章 自由を求める男


消毒液の匂いがしてきて、医療器具の音が聞こえた
時々コラソンが痛みに声を上げている


ガタン

「「!!」」

奥のベッドの方から、何かがぶつかる音がして
誰も居ないと思っていたローとコラソンに思わず緊張が走る

シャッ

「ああ、すまない。人がいたのか」

真っ白いカーテンが引いて開けられると、中から顔を出した人物に2人は目を見開く

「?!れっ、レイリー先生?」
「なんでアンタが此処に…」

「体調の悪い生徒を見つけて、此処まで連れてきたんだ」

奥のベッドが2人にも見えるように立ち位置を変えて、カーテンを静かに引く

「ッセナ…?」
「真っ青じゃねェか!可哀想に、魘されてる…」

一見しただけでも具合の悪そうなセナに、コラソンが慌てて駆け寄る
はずが、やはり椅子に足を引っ掛けて盛大に転んだ


ガターンッ!!

「ッ?!なに、」

転んだ拍子にベッドのフチに肩を打ち付けたため、ひどくベッドが揺れるとセナは目を覚ます
慌てて起き上がれば、ベッドの下で頭をさすっている大きな背中

「イタタタ」
「コラソン先生、大丈夫ですか?」

ベッドの上に起き上がり、手を差し出すと大きな両手で握り返してくる
その行動の意味が分からず首を傾げた

「どこか痛むんですか?」
「俺は大丈夫だ、ありがとう。それより、悪い夢でも見てたのか?ひどく魘されていたが」

何倍も大きな手のひらで、壊れ物を扱うような優しさでセナの手を握り締めるコラソン
その顔はふざけたようなメイクをしているが、瞳の奥は真剣そのもの
本気で心配しているのが伝わってくる

「悪い、夢…」

コラソンの優しい手に、先ほどまで触れていた無骨な手のひらの感触が蘇る
悪い夢だったら、どれだけ良かっただろうか

『今ならまだ』

話せば解決策が見つかるかもしれない
意を決して口を開こうとした時、第三者の手が伸びてきてコラソンと引き離した

「いくらコラさんといえど、触れてるのが長ェ」
「悪ィ悪ィ、そんな怒んなよ」
「…ロー、っ」

まさかローまで此処にいるとは思わず言葉を詰まらせた
決したはずの意思が、ぐらりと揺らぐ

「まだ顔色が悪いな…熱は」
「!ッ、」

ローが額を合わせようとして近付いてきたのを思い切り避け、ほんの少し距離を置いた

「ごめん。風邪とかだと…うつしちゃう、から」
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