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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第13章 自由を求める男


「自分以外は、誰も傷付かなければいい…それがお前の信条だ。そうだろう?」
「そんな、こと」
「そうして自己犠牲の上に1人しがみつき、お前は何を得た?…まァ、俺としちゃァ好都合なんだがな…フッフッフ」

目の前で笑みを浮かべ続ける男に、まるで心を見透かされたようでセナは言葉を失っていた
出会って数分も経っていないのに、心の内まで覗き込まれたというのか

「さァ、どうする…俺の女になるか、

それともローが見るも無惨な姿に変えられるか」

「ッそんなこと!させるわけないでしょ!!」
「ならさっさと認めちまえ…俺も気は長い方じゃない。躊躇ってる間に、ロー如きどうにでもできる」
「卑怯者…!」
「心外だなァ?案外テメェの女には優しいんだ、俺でもな」

じわりじわりと、言葉で追い詰めセナの心を蝕んでいく
ドフラミンゴはまるで毒のような男だと、そしてもう逃れられないのだと悟ると全身の緊張を解いて、前を見据えた

「条件をのめば、絶対に…ローに手を出さないで」
「ああ、約束だ」

『ロー…ごめんなさい』

「条件を、のむわ」
「賢明な判断だ。セナ、」
「なに?」
「お前からキスしてみせろ、愛の証だ」
「なっ、」

この男は、どこまで侵蝕してくれば気が済むのか
また先ほどのように心の内を見透かされたのかと、一瞬身を硬くする
ここで言う通りにしなければ、いつまた気が変わるかもしれない

「屈んで」
「あァ」

『愛してるのは、貴方だけよ…ロー』

ドフラミンゴが前屈みになると、吐息が触れるほどの距離でその太い首に腕を回し、笑みを浮かべたままの唇に口付けた
ギュッと目を瞑っているセナには、ドフラミンゴがサングラス越しに哀れむように見つめていたとは知る由もない


『ロー、お前はセナを救えねェ』



カタ、

「誰かいるのか」
「ッ?!」

暗闇の中、2人以外誰も居ないはずの薬品庫に聞いたことのない渋い声が響くと
咄嗟に目の前の身体を押し離して、セナは辺りを見回す

「誰だ。邪魔しやがって」
「その声は、学園長殿かな?」
「…チッ、面倒なヤツが来ちまったようだ」

暗闇に慣れた目は、新たに現れた人物の姿をはっきりと浮かび上がらせた
無造作に肩まで伸びた白髪と髭を蓄え、細いフレームの丸眼鏡をかけた右目には傷が一つ携えられている
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