生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
きっと学園内で起こっている件の何かを知っている
最悪彼女の身近にいる能力者が関わっているかもしれない
自分たちを巻き込まないように、1人で悩んでいるのだ
この短い間でもセナは分かりやすく人と距離を置こうとするときがある
人と馴れ合うことを彼女に躊躇わせる何かが過去にあったのか、分からないけれど
何も話さなくていい、ただセナがいつも通り元気になって戻ってくることを3人ともが願っていた
自分たちはどんなことがあっても、親友同士なのだから
この想いが、弱った彼女に届けばいい
「教室に戻りますね」
「わ、チャイム鳴っちゃうよ!ビビちゃん行こう!」
いつも通りの光景が穏やかに流れている教室
時を同じくして、セナは避けられない運命の鍵を握る、1人の男と出会っていた
-----
「保健室って遠いよねぇ」
1人きりになって、だいぶ体調は落ち着いた気がするが戻るわけにもいかずに保健室へ向かう
教室のある校舎と、保健室のある校舎は1番離れた距離にあり中々利用する人は居ない
今は授業中ということもあり、特別教室ばかり並ぶ校舎の廊下は静まり返っていた
カツ…
「…?」
何か音が聞こえた気がして振り返るが、もちろん誰もいない
何処と無く不気味な雰囲気に首を傾げて、ほんの少し歩くスピードを速めた
カツ、カツカツカツカツ!
速めたスピードを明らかに追いかけるような足音が聞こえ、思わず走り出そうとしたところで視界が奪われた
視界いっぱいに広がるピンク色…よく見るとそれは鮮やかな羽根の塊
「っ…!?」
何故こんなところに羽根が?と辿るように視線を上に向ければ
1人の大男が歪んだ笑みを浮かべて此方を見下ろしている
金色の短髪に変わった形のサングラスをかけた男は、見せつけるようにゆっくりと舌なめずりをして口を開いた
「こんなところで、何をしている?」
「え、あ…の…」
未だこの学園には出逢っていない教師もいるはずだ
しかし恐らく2mは悠に超えた大男が校内に居れば、嫌でも目に、記憶にまで焼きついているだろう
そうなると、この目の前の大男は
『不審者…!殺される?!』
学園に侵入した、殺人犯と断定したセナは相手の気を逸らそうと考えを巡らせた
だがそんな猶予はあるはずもなく
「何をしているかと聞いたんだがなァ…」