生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
「まぁ、ルフィが能力者だからね」
「えっ、そうなの?!」
「ちなみにセナちゃんのクラス担任のスモーカー先生もだよ!」
「ええっ」
「ルフィさんのお兄さんのエース先生もですよね」
「まったく知らなかった…」
ルフィもスモーカーもエースも、一見しただけではそんな人並外れた力を持っているとは思えない
自分たち普通の人間と何ら変わらない
そう、先日までのローだって同じだった
『あんなことが出来るなんて、誰も分からないよ…』
しかし確かに、この目でその能力を目の当たりにした
このままでは自分のせいで、ローに重い処罰が下るのではないか
セナは不安と焦りに駆られていた
「でも誰も目撃してないんじゃ、もしかしたらこのまま迷宮入りかもね」
「そ、そうなの?」
「じゃないと誰を処罰すんのよ」
罰するにしても、対象人物が特定できなければどうすることもできない
ならばこのまま、隠し通すことができるのでは?
そんな僅かな希望も、続くカヤの言葉で見事に打ち砕かれた
「でも、先生たちは大体の検討はついてるらしいよ?」
「ッ、」
「あのセナさん、さっきから真っ青ですよ?大丈夫ですか」
「え?うん…大丈夫」
「って…大丈夫じゃないんでしょ、ほら保健室行くわよ」
自分では分からないが、目の前の3人の難しい表情を見る限りひどい顔をしているのだろう
授業まであと数分、放課後までは…体調が保ちそうにない
心配したナミが保健室へ連れて行こうと腕を引いてきたが、やんわりと断って席を立つ
「大丈夫、1人で行けるから」
「先生には伝えておくから、早退するなら。シャチくんに荷物預けるわよ」
「そんなに休まないって。すぐ戻ってくるよ」
大げさなほど心配してくれる3人の友人
これ以上自分に関わると、彼女たちも巻き込み兼ねない
結果的に隠し事をしている事実に胸を痛めながら、これでいいのだと言い聞かせ笑顔を作る
「多分次の授業には戻るから、ナミお願いね」
「分かった、ゆっくり休んできなさい」
「お大事にしてくださいね」
「またあとでね!」
「ビビちゃんも、カヤちゃんもまたね」
どこか覚束ない足取りで教室を出て行く後ろ姿を、3人は心配そうに見送った
セナが何かを隠しているのは分かっていたが、あの様子では聞いても話さないかはぐらかされただろう
「世話の焼ける子だわ」