生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
「別に、いつも通りだよ?」
「そ、そうか…なら、いいんだけどなァ」
ウソップは腑に落ちないように首を捻らせたが、納得をしたように頷いてみせた
そう、至ってローはいつも通りなのだ。ただ気にしてるのはきっと自分だけなのだと、セナは心の中でそっと溜息を吐く
『人に話したくないことだってあるよね』
しかし自分には話せないことを、キッドとはやり取りしていた
男と女では色々と事情が違うのかもしれないが、疎外感は否めない
いつからこんなに我儘になってしまったのだろう
『深く関わることは、よくないのよ…』
まだ幼い頃の記憶が、鮮明に蘇ってしまい更に深い溜息を吐く
そんな明らかに落ち込んでいるセナを、ローは難しい顔をして見つめていた
『知らないなら、知らない方がいい』
下手に情報を刷り込まれれば、ヤツに見つかりやすくなるかもしれない
それだけは、避けなければ
「ほら、教室行くぞ」
「…うん」
手を繋いで、校舎への道のりを促す
大人しく繋がれた手は、遠慮がちに指先だけを掴んでいる
そんな2人の姿を、校舎の屋上から見下ろす男が1人
「いいモン持ってるじゃねェか…なぁ、ロー」
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クラスが騒ついている
先ほどホームルームの際に、担任のスモーカーから周知された話が原因だろうか
"この学園の禁忌を犯したヤツが居る。犯人はまだ捕まっちゃァいねェが…心当たりのある者は、後で生徒指導室に来い"
先日キッドから聞き出した、この学園の校則
学園の禁忌ともいわれる、悪魔の実の能力の使用だ
あの日屋上で、キッドに無理矢理乱暴されそうになったセナの姿を見て
頭に血が上ったローが見せた技は、人並外れたものだった
「面倒なことしてくれたわよね」
「!」
「どこの誰だか知らないけど、迷惑な話よね」
自分の席で物思いに耽っていたセナの元へ、いつものメンバーが寄り合う
同じクラスのナミ、別のクラスのカヤとビビ
「でも一体、この学園の何処で能力が使えたんでしょうか」
「学園自体、海楼石で建てられてるんだもんねー。だから普通に立ってるだけじゃ使えないはずだし」
みんな同じ話題で持ちきりだ
能力者のことを知らなかったのはセナだけらしい
「みんなは、知ってたの?」
「何を?」
「えっと、悪魔の実の…能力のこととか」