第12章 ちょっと一息つきましょう(＊)

「ありがとう、私のために覚悟をしてくれて」

セナの胸に巣食っていた不安は、カケラも残さず霧散して消える
目の前のローから与えられる、包み込むような愛情に思わず目を細めた

「ローの全部を、ちょうだい？」

両腕を伸ばして広げ、薄く微笑んだ
その笑顔に先ほどまでの不安や迷いはなく、ローに対する愛しさに満ち溢れている

「ッだからあんまり、煽んな…」

自分から言っておきながら、ローは思わず視線を逸らした
一度小さく深呼吸をして、気を鎮めようとする
ふと空いていた手を小さな手が包み込みんだので、何事かと再び視線を戻すとほんのり頰を染めた愛しい存在

「我慢しないで」

少し恥じらうように、視線を伏せながら言われれば
ギリギリで堪えていた理性など、ガラガラと音を立てて崩れ去ってしまう

「どうなっても、知らねェからな」

小さな手を掴んで引き起こすと、背中を支えて深く口付ける
ピチャリと粘膜同士が絡まる湿った水音を室内に響かせて、舌の動きは激しさを増してゆく

「んぅ、ッ…」
「は、っ」

唇を重ねたまま、ベビードールの上から胸の膨らみを揉みしだき
先端の突起を指で軽く摘むと優しく擦り上げる

「く、ぅ…ンッ」

くぐもった声は口内に吸い込まれていき、ギュッと目を瞑って快楽に身を捩る
あまりのキスの長さに息苦しさから肩を叩いて訴えれば、ようやく離れた唇を紡ぐ銀の糸
ローが舌で絡め取ると、その妖艶さに視線を逸らした

「よそ見するな」
「ぁンッ」
「俺だけを見ろ」

両手で包み込んだ胸を揉みこみながら、突起を指で弾く
ピクッと体を跳ねさせ、涙目になると上目遣いで見上げた
大きな黒い瞳に映る自分自身に、ローは満足げに笑むと鼻先にキスを落とす

「ンっ、、ロー」

熱のこもった声で、か細く名を呼ばれただけで腰に響く感覚がした
そっと肩を押し、再びベッドに押し倒すと小さな身体から服を脱がせる

ローも着ていたシャツを脱ぐとバサリと床に投げ捨て、セナに覆い被さるとその身体を縫い付けて全身にキスの雨を降らせていく

「ゃっ、」

くすぐったさと恥ずかしさに、なんとか逃げられないものかと身じろぐがかなう筈もない

下半身が疼く気がしていたたまれなかった
図らずも数分前のやり取りのせいか、熱が焦らすように全身を支配する

既に身体が、ローの熱を求めているのだ