第12章 ちょっと一息つきましょう(＊)

「ロー、もうっ」

名を呼び此方に振り向かせると身体が自由にならないため、視線で限界を訴える

「も、いい…から」
「慣らしてねェから、待て」

下着の隙間から、ぬるりと指が差し込まれ浅く抜き差しをされれば
もっと深く飲み込もうと腰が浮いてしまう
限界を更に煽られたことで唇を尖らせれば、涙目で訴える

「いじわる…ッ」
「もう少し我慢しろ」
「ふぁっ」

二本重ねた指で弱い部分を擦り上げれば、悦びに身体が打ち震えた
その様子に、ニヤリと悪どい笑みを浮かべたローは抜き挿しする速度を段々と速めてゆく

「ぁっ、あ…アッ！」

快楽の波を追い高みへ昇り詰めようと、ガクガク震えだした全身を見遣ったローが指の動きを緩めた

「まだまだ夜は長いんだ…簡単にイったら面白くねェだろ」
「んっ…バカ、ァ」
「余裕あんじゃねェか」

クスクスと堪えるように喉奥で笑いながら、指の動きを速めては止まったり、緩めたりを繰り返す
何度も押し寄せる快楽の波に飲み込まれることは許されず、焦らされ続ける身体も脳までもが狂いそうなほどだ

「ひ、ッ…ンン、ぁ」
「そんな顔するな」
「ロー、のせい…っんんぅ」

自分がどんな顔をしているのかなんて分からないけれど、きっと情けなくだらし無い顔をしているに違いない
でもそんな顔をさせているのは、焦らしに焦らし続けるローのせいである

そんなことを知ってか知らずか、反論しようと開いた唇は言葉ごと口付けに飲み込まれてしまった
そして口内を散々弄ったあと、唇を離して耳元で囁かれた言葉


「もっとイジメてやりたくなる」

舌舐めずりをしながら、獲物を捕らえて離さない獣のような瞳でそんな風に言い切ったロー
その姿と台詞が余りにも似合いすぎて、思わずぼうっと見惚れてしまった

「もっ、もう散々いじめてるじゃない！」
「へぇ？」
「ぁンッ！」

しかしふと我に帰り、言葉の意味を理解すればカァッと真っ赤になって、恨めしげに睨め付ける
と不意に指を突き立てられ、ビクリと身を強張らせた

「やぁ…ソ、コ…ぉ」
「イジメられて悦んでるのは、どの身体だ？」
「ア、ぁっ…やだ、そんな…ッ」

あまりの言われように、自然と涙が溢れてくる
自分の身体は、そんなに浅ましいのだろうか

「おい…泣くな」

セナの瞳から止めどなく溢れる涙を空いた手で拭い、瞼に口付けて優しく見つめる