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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第12章 ちょっと一息つきましょう(*)


「ローも私も、まだ未来を決めちゃうのは早いと思わない?」
「別に全部決めちまうんじゃねェ、俺が欲しいのはお前だけだ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど。もしもローの気持ちが変わってしまう時がきたら、私は貴方を手放してあげられなくなる」


だから、今はまだ曖昧なままでいるのがいいのだと
それではまるで、ローがセナのことを好きではなくなるかのような言いぶりである

「まだ…俺を信じられないのか」
「そうじゃない。私はね、自分が傷付かないように逃げてるだけなの」
「……」
「狡いでしょ?ローのことを傷付けて、自分を守る事しか考えないの」

申し訳なさそうに笑いながら、そんなことを言うセナはどこか諦めたような表情で
何が彼女を躊躇わせ、縛るのかが分からない

『俺以外に想うヤツが…』

最悪の結末を想像したが、よくよく考えれば何か合点がいかない
深く考え込むように、一度手を止めた

「どうしたの」

鍋の火を弱めて不安げにこちらを覗き込もうとする

『私は貴方を手放してあげられなくなる』

だから未来は考えない、約束をしない。というのなら
今のうちに自分の想いを押し殺してでも、ローを自由に手放せる準備をしておくということ
狡い自分を守ると言いつつ、結局第一に考えているのはローのこと

それもきちんと、愛情はそこにある

「…ロー?」

返事をしないことに、大きな瞳が揺らいでいる自覚はあるのだろうか
一定の距離を保とうとするクセに、ちょっとしたことに怯えて眉が下がるその顔が、弱弱しい声が

『可愛い…』

愛しくて愛しくてたまらない
そしてどうすれば、セナを安心させてやれるのか。本人はいつでも逃げる気でいるが、逃がすワケがない
だから逃げられないように、守ってやらねば

矛盾したような誓いも、素直じゃない彼女にはちょうどいいだろう

「ほら、剥けたぞ」
「あ、うん。ありがとう」
「いい加減腹が減ってきたな」
「もうすぐできるから後は待ってて?」

背中を押され、リビングのソファに座らされる
テレビをつけて、リモコンを渡すとキッチンへ戻っていった

暫くすると、いい匂いが部屋を満たしてゆく


「ロー、できたよ」
「ああ…すげェな」

ダイニングテーブルの上には、焼き魚・味噌汁・煮物・お浸し、様々な形をしたおにぎり

「頑張って作り過ぎたかな?」
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