生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第12章 ちょっと一息つきましょう(*)
「あーでも!若い2人の邪魔しちゃダメね!じゃあ、また…あっいつか仲人が必要なら呼んだちょうだいよ!!」
「えっ、ちょっ」
去り際に余計な一言を残して、オバさんは嵐のように去っていった
多分明日には近所中に『セナにイケメンの彼氏ができた』とかなんとか、話が広がるだろう
さらには勝手にその先の話まで一人歩きをしかねない
「仲人って…」
自分たちはまだ高校生で、なんなら付き合って一週間も経ってはいないのだ
それがお節介なことに、何故か結婚まで飛躍している
そんな先の話なんて分からないのに
繋いだままの手を見つめていると、頭上から声が降って来た
「仲人ならコラさんに頼むから安心しろ」
「…うん、そうだね…って!ローまで何言ってるの」
「さっきのが仲人だとややこしいだろうが」
「や、そうじゃなくて、そもそも結婚なんて…」
正直まだそんなことまで考えられないのが本音である
今はまだ明日のことさえ不安になることもあるというのに、結婚なんて遠い先の未来が本当にどうなるか分からない
『結婚、なんて…ううん、可能性は』
淡い期待を抱こうとする胸に、無理やり歯止めをかける
これ以上考えるのを止めようとかぶりを振った
しかし隣にいるローはそれを許してくれないようだ
「その口ぶりは…結婚、しねェつもりか」
「しないとかそうじゃなくて、そんなこと分からないでしょ?」
「分かる。お前は俺のモンだろうが、だから」
「もうこの話はやめよ?買い物しなきゃ、遅くなっちゃう」
これ以上曖昧で意味を持たない会話を続けるのが耐えられず、無理やり話を逸らそうとする
買い物カゴを片手に、店内を進もうとしたけど…繋いでいる手によってそれは阻まれた
「俺が信用ならねェか?」
「そん、なこと」
手を引かれて、見上げたローの表情は見たこともないような傷付いた顔で一瞬言葉に詰まる
上手く言葉が紡げずに、周囲の喧騒の中2人の合間にだけ沈黙が流れた
「あのね、そうじゃな「あれ、セナに…会長?!」
何か否定をせねばと口を開いたときに、タイミング悪く名前を呼ばれて2人同時に振り返る
「え、なんで会長がココに?」
「えっと、ペンギンこそどうしたの?」
「俺はお袋にしょうゆ頼まれたんだよ」
別に隠す必要はないのだが、驚きのあまり質問に質問を返す
さしてペンギンが気にした風はない