生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第12章 ちょっと一息つきましょう(*)
『何故ここに、セナが…?』
人が溢れかえる狭い空間で、ローはひたすら混乱している真っ最中だ
先ほどすれ違った女の名を確かに呼んだはずなのに、人違いだと一蹴された
こんなところで出会うなんて、思ってもみなかった…運命か、奇跡…普段はそんなもの信じないけれど、今回だけは信じられたような気がする
しかし、逃げるように去って行った姿は一度も振り向くこともなく…本当に人違いだったのかもしれない
『いや、間違うはずがねェ』
例えこの場を埋め尽くす限りの人間が居たとしても、愛するセナだけは見つけられる…見つける自信がある
それに、それに彼女は…泣いていたのではないだろうか
「ちょっと!アンタここで何してんの?!」
「ッ…?ナミ屋…?」
「トラファルガー先輩ひどい!」
「セナさんのこと…裏切るんですか?!」
見知った顔が次々と店内から出てくる。みな一様に怒りをあらわにしているようだ
何故こいつらがここに…そう悩みかけて、昨日の記憶を思い出した
『そういえば明日ナミたちとショッピングに行くの!』
セナはそんなことを言っていた気がする。なにより今目の前にいる3人がその証拠だろう
だとすれば、やはりあの女は…セナで間違っていなかったのだ
「そこのアンタ!一体トラ男のなn「お兄様?この方達は??」………えっ、」
「「お兄様?!?!」」
「ああ、こいつらは学校の後輩、だな」
「初めまして、兄がお世話になっております」
「で、コイツは妹のラミだ」
ローの腕を離れ礼儀正しく頭を下げる女の子は確かに、ローことを『兄』と言った
見た目こそ全然似ていない2人を兄妹だとは、にわかに信じがたい
「さっきの方も後輩の人?」
「あれは…俺の彼女だ」
「!…早く言ってよ!挨拶しそびれちゃったじゃない!!お兄様のバカ!」
「呼び止めたけど、逃げられたんだよ。絶対に、母さん達には言うんじゃねェぞ」
3人は注意深く、仲睦まじい兄妹のやり取りを見ていたが、その会話は確かに恋人同士ではなさそうだ
ローの態度が、ラミに対してはセナに向けるものとはまた違う優しい色を纏っている
「そんなことより、彼女さん。追いかけなくていいの?」
ラミの言葉に、反応したのは女子3人だ
「ハッ!そうです!今すぐセナさんを追いかけて下さい!」