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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第12章 ちょっと一息つきましょう(*)


サンジのように目をハートにして、鼻息が荒くなったローを想像して全員が笑いに打ち震えてしまう
テーブルに突っ伏して、必死に笑いを堪える4人の姿は明らかに不審すぎる

『お客様…どうなさいました?』

勇気ある店員が声をかけてきたので、なんとか笑いを押し殺してセナが顔を上げる

「大丈夫です、ちょっと…面白くて」
『は?』
「あっ、こっちの話です。すみません」

まさか自分の彼氏の有り得ない姿を想像して、ツボにハマったなどと言っても仕方ない
なんとか上手く誤魔化すと、落ち着いた3人も顔を上げて頭を下げた
そのまま注文を済ませ、女子高生らしい他愛もない話に華を咲かせる


しばらくすると各々の注文したスイーツが届いて、テーブルも華やぐ
全てが揃ったところで、セナは店員に軽く会釈をする
そのとき何気なく店の入り口に並ぶ行列に目をやった
まだ開店から1時間も経っていない店内は既に満員で、長蛇の列になっているようだ

『あれ、』

列の中に、見知った人物を見つけた気がして目を凝らしてみる
周囲の人達より頭一つ分ほど飛び出た、痩身の男性…

「ロー…?」
「?どうしたのセナ」

他3人の視線も、店の入り口に向けられた
行列に並ぶ、ある意味場違いな顔に驚きを隠せない

なにより驚いたのはその隣にいる人物
両サイドに結われたおさげ髪が揺れる、笑顔の可愛い女の子がローの腕に巻きついている

「ちょっとアレ、誰よ?!」
「やけに親しげな感じ…」
「あっ、セナさん…!」

ヒソヒソと3人が話していると、おもむろにセナが立ち上がった
荷物を持って、財布から千円札を出すとテーブルに置いてニッコリと笑う

「みんなごめん、用事思い出しちゃった。私の分、良かったら食べて」
「セナちゃん…」
「埋め合わせは、必ずするから…!本当、ごめんなさい」
「あっ、ちょっと!」

深々と頭を下げると、駆け足で店を出ていってしまう
階段に並ぶ行列の横をすり抜けて行けば、耳に馴染んだ声に名を呼ばれた

「セナ?!」
「ッ…!人違いです!!」

掴まれそうになった腕を払い、階段を下り切ると急いで家に向かう
呼吸が乱れる。走ったせいか、いつのまに溢れてきた涙のせいか

「ッ、ぅ…」

信じようとしていたのは、自分だけだったのだと言われた気がした
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