生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第12章 ちょっと一息つきましょう(*)
何故か男子生徒は涙目で、若干震えているようだ
「誰が呼んでいるのか、分かる?ええっと」
「アッ、すみません!僕はコビーと申します!」
ビシッと敬礼をして名乗ってくれた男子生徒…コビーくんは、空いた手の方で恐る恐るといった風に教室の出入り口を指差す
指差された先を辿って、相手を確認しようと見回す前に
痺れを切らしたような苛立ちを含んだ声が聞こえてきた
「遅ェ!女1人呼ぶのにどんだけ掛かってんだァ?!」
「ヒッ!すみません、すみませんッ!」
「キッド!脅かさないの!!ごめんねコビーくん、わざわざ有難う」
「いっ、いえ…じゃあ僕はこれで」
学園内でも悪名高いキッドに声を掛けられたため、あんなに震えていたのかと思うとなんだか申し訳ない気分になる
それでも勇気を出して呼びに来てくれたコビーにせめてもの感謝を伝えて微笑むと、顔を真っ赤にしてそそくさと教室を出て行ってしまった
「青かったと思ったら、真っ赤になって…大丈夫かな?」
「ケッ!無意識ってェのはタチ悪ィよなァ」
「?なんのこと?」
「…なんでもねェよ」
キッドが何のことを言っているのか分からず首を傾げたが、教えてくれそうにはない
それよりも何故、ここにキッドが居るのかの方が気になりだした
「ああ、忘れる所だったぜ…ほらよ」
ぶっきらぼうに、高級そうな紙袋を押し付けられて思わず受け取ってしまう
中身を確認すると、真新しいブラウスが3枚ほど入っていた
「えっ、なんでこんなに?」
昨日破られてしまったのは1枚だけだ、その分を弁償してもらえば充分のはず
「キラーが」
「キラー?」
「オレの、保護者気取りの男が…詫びの分も持ってけって。持たされただけだ」
どうやらそのキラーという人には正直に話したのだろう
キッドは恥ずかしいのかバツが悪いのか、あーだうーだと唸りながらガシガシと頭をかいている
「女の子のプレゼントにブラウスって、センスないわね」
「わ、ナミ!」
セナの後ろから紙袋を覗き込むようにして、ナミは肩を竦めた
その言葉にカチンときたキッドが食ってかかる
「別にプレゼントじゃねェよ!何も知らねーくせに、口出すんじゃねェ!!」
「それは悪かったわね。じゃあ聞くけど…何があってこんな物セナに渡すワケ?」
「ッツ…!」
理由を話すなら、昨日あったことまで話さなければならない