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【MHA】DELETE

第6章 爆豪くんのいない四日間


 目を覚ますと、見慣れない天井が視界に映った。


「目が覚めたか。」
「…相澤先生。ここは…?」
「保健室だ。」


 八百万さんに勉強を教えてもらった後、突然激しい頭痛に襲われて、逃げるように八百万さんの部屋を出た。けど、私の記憶は廊下に出た所で途絶えてる。


「私、どうやってここに?」
「八百万が血相変えてストレッチャーで運んで来た。後で顔見せてやれ。」


 割れるように痛かった筈の頭痛は、まるで最初から無かったかのように消えていた。
 あの後すぐにリカバリーガールが保健室に戻って来て、体調が戻ったなら寮に戻って大丈夫と言われたので私は先生達に頭を下げ、一人、寮へと戻った。


「橘さん!」


 寮の扉を開けると、心配そうな表情を浮かべた八百万さんが私の元へ走ってきた。八百万さんに続くように他のクラスメイトも私の元へ駆け寄った。


「心配しましたのよ。」
「もう大丈夫なワケ?」
「もしかして朝から体調悪かった?ごめーん!全然気付けなかった!」
「何か食べる?お腹すいてない?」
「ケロケロ。皆落ち着いて。玲奈ちゃん困ってるわ。」


 私の体調を心配して集まってくれていた皆にじんわりと胸が熱くなった。


「…玲奈ちゃん大丈夫?無理しとらん?」


 酷い態度を取り、酷い言葉を掛けてお茶子ちゃんを傷付けた。それなのに、なんで…。急に込み上がってきた感情に抑えが効かなくて自然と涙が零れた。


「え?玲奈ちゃんどうしたん?大丈夫?やっぱり具合悪いん?」


 お茶子ちゃんの言葉に私は首を横に振る事しか出来なかった。どうして私に優しくするの?私は人から優しくされていいような人間じゃない。もしかしたら敵(ヴィラン)かもしれない人間で、皆の敵に成りうる存在かもしれない。


「…私、皆と仲良くしたい…。友達に、なりたい…。」
「何言ってんの?もう友達でしょ?」


 耳郎さんの言葉にまた涙が止まらなかった。私、このクラスの皆が好きだ。あの日、目が覚めた私が囚われてるヒーロー像が何を指すのか分からない。昔の私にとって大切なモノだったのかもしれない。けど、今、私が大切にしたいそう思うのは目の前にいる皆の事。戻るか分からない記憶に縛られ、怯えるのはもうイヤ。変わらなきゃいけない。変わるんだ。大丈夫。私はもう一人じゃない。


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