第7章 Watch only me(爆豪視点)
こっちの反応なんかお構い無しに人のテリトリーに入って、余計なお節介を焼く女。泣き虫な癖に、妙に意地っ張り。無個性で何も出来ない木偶の坊のくせに、俺に張り合おうとするデクが気に入らず、デクを虐めれば、怖がりながらもいつも俺に挑んで来た。玲奈がデクを庇うのが無性に腹立たしくて、デクの名前がその口から出る事が許せなくて、何度も何度もデクを殴った。俺だけを見てればいいのに。何度そう思った事か。
『授業のノート爆豪くんの分も取ったから!爆豪くんみたいに上手く要点を纏められてるワケじゃ無いけど、自分なりに頑張ったつもりだから!あと、謹慎中の学校の事で聞きたい事があったらなんでも聞いて!』
一瞬記憶が戻ったんじゃねーかと思ってしまった。が、それが記憶が戻ったから言った言葉では無く、デクの記憶を覗いたからだと直ぐに分かった。記憶を失くした今もデク、デクって、何なんだよ…!頼るならデクじゃなくて俺だろうが!昔も今も俺の名前を呼びながら、ちっともこっちを見てねえじゃねえか!その反応が、その態度がムカつくんだよ!
五月蝿い口を塞ぐ為、その口を塞ぐように丸顔の前で唇に噛み付くようにキスをすれば、顔を赤くしたが、こっちを見ないのは相変わらずで、余計腹が立った。