第6章 爆豪くんのいない四日間
「ええ、そうですわ。正解です。」
「…凄い、全部解けた。」
噂通りとても丁寧にわかり易く勉強を教えてくれた八百万さん。八百万さんのお陰で空欄だった解答欄が全て埋まった。
「途中からの編入だと授業内容が違って苦労しますわよね。」
「…うん。」
「けど、橘さんは呑み込みが早いからすぐに追い付けますわ。心配なさらないで下さいね。」
事情を知らない八百万さんはそう言って私を励ましてくれた。
「…このクラスの人は皆優しいね。」
「橘さんがそう思われるのは、きっと皆さんが橘さんと仲良くなりたいって思ってるからだと思いますわ。仲良くなりたいと思う相手には自然とそういう行動を取ってしまうものですから。」
皆と仲良く出来たら…そう思った事は何度もある。けど、そう思う度に、お茶子ちゃんの顔が浮かぶ。皆と仲良くしたい。けど、お茶子ちゃんとは仲良く出来ない。お茶子ちゃんの存在を認められない。そんな酷い事を考えてる私を八百万さんは、皆も私と仲良くしたいと思っていると言ってくれた。耳郎さんもそう。私を否定せず、私の気持ちを汲んでくれた上で優しい言葉を掛けてくれた。お茶子ちゃんが悪いワケじゃ無い。けど、どうしてもお茶子ちゃんの考えを受け入れられない。受け入れてしまえば、私の中の何かが壊れてしまうような気がしたから。