第6章 爆豪くんのいない四日間
自室に戻り、身支度を済ませ、共有スペースに向かうと、クラスメイトから質問攻めをされながら掃除機をかける爆豪くんと緑谷くんの姿があった。
「爆豪。仮免の補習どうすんだ。」
「うるせぇ…てめーには関係ねぇだろ。」
緑谷くんともそうだが、爆豪くんは轟くんともソリが合わないらしい。そのせいか、私が緑谷くん、轟くんと話したり、その名前を口にするだけで途端に不機嫌になる。
「…じゃあ、爆豪くん行ってくるね。なるべく早く帰ってくるから。」
「当たり前の事一々言ってんじゃねーよ。」
学校に到着し、今日は始業式という事で、飯田くんの引率の元、グランドへと向かった。
「聞いたよ──A組ィィ!二名!そちら仮免落ちが二名も出たんだってぇぇ!!?」
「B組、物間!相変わらず気が触れてやがる!」
ヒーローらしからぬ悪い笑みを浮かべ、こっちに向かってくる物間くんに、自然と嫌悪感が湧いた。
「さてはまたオメーだけ落ちたな。」
切島くんのその問いに物間くんはお腹を抱え笑い出した。
「こちとら全員合格。水があいたねA組。」
ドヤ顔でそう言った物間くんは、やっぱりどうも苦手…というか嫌い。ふつふつと怒りが込み上げてきた。
B組の角の生えた女の子が、これからはA組とB組での合同授業があると言っていた。もし、ヒーロー基礎学で物間くんとチームを組んで授業を受ける日が来るのかもしれない。そう思うと、全く上手く出来る気がしなかった。
「ボコボコォにウチノメシテヤァ…ンヨ?」
物間くんに耳打ちをされた女の子はそう言って拳を握った。その後で大声を上げ笑う物間くん。すかさずクラスメイトの女の子にどつかれていた。
「…最低。」
どんなにソリが合わなくても、プロヒーローになってからの事を想定するならいくら気が合わなくても、共闘しないといけない時がある。
「ん?何だって?」
絶対聞こえてただろうに、態とらしく耳に手を当て聞き返してくる物間くん。やっぱりこの人は嫌いだ。
「オーイ。後ろ詰まってんだけど。」
他のクラスの人に注意を受け、飯田くんに急かされ、靴に履き替え、グランドへと向かった。