第6章 爆豪くんのいない四日間
「オイ。」
部屋の扉を開けると爆豪くんに呼び止められ、足を止めた。
「学校終わったら真っ直ぐ帰って来い。俺がいねーからって他の奴と無駄に話すな。」
「…善処します。」
「あ゛あ?返事は〝はい〟だろーが。」
どうしてそこまでして私が他の人と関わるのを嫌がるのか理解出来ない。それが表情に出てたのか、爆豪くんは眉間に皺を寄せ、私の手を掴み、自分の方へと引き寄せた。そして、私の首筋に顔を埋めると、チクリとした痛みが走った。
「…っ!」
爆豪くんの隣の部屋の扉が開き、出て来た切島くんと目が合った。チクリとした痛みはほんの一瞬で、爆豪くんが私の首筋から離れると、爆豪くんは私の視線の先を見つめた。
「…お、はよっす。朝から仲、いいな…。」
あの時と同じくいけないものでも見てしまったというような切島くんの視線に一気に顔に熱が集まった。すると突然爆豪くんに顔を掴まれた。
「何見てんだクソ髪!」
「いや…!俺は何も見てねーよ!」
「ば、爆豪くん!痛い…!」
加減はしてくれてるんだろうけど、掴まれた部分がミシミシと痛む。顔を隠されてるから状況がイマイチ飲み込めないけど、声のトーンと爆発音が耳に響く事から察するに爆豪くんは怒ってるんだと思う。
「俺、何も見てねーから!」
「待てコラクソ髪!」
爆豪くんの手から解放されれば、視界が開け、階段へと駆けていく切島くんを追い掛ける爆豪くんの背中が見えた。切島くんには恥ずかしい所見られてばっかりだな…。そのせいで爆豪くんに追いかけ回されてるし。爆豪くんも、相手が切島くんだから遠慮無しに個性ぶつけてるんだろうけど。だからといって不憫な事に変わりはない。