第5章 ヒーロー仮免許取得試験
『皆さん、長いことお疲れ様でした。』
合格発表前に採点方式について説明がされ、モニターに一斉に合格者の名前が掲示された。
「あった…!」
〝橘玲奈〟
モニターの中に私の名前が映し出されていた。同じく自身の名前を見つけたクラスメイト達が声を上げ、合格を喜んだ。
「ねえ!!」
けど、爆豪くんの名前はその中に無かった。
「暴言改めよ?言葉って大事よ。お肉先パイも言ってたしさ。原因明らか。」
「黙ってろ。殺すぞ。」
鬼の様な形相の爆豪くん。あんなに怒ってる爆豪くん相手に追い打ちをかけるような上鳴くんの言葉にハラハラした。
『えー全員ご確認いただけたでしょうか?続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記憶されてますのでしっかり目を通しておいて下さい。』
名前を呼ばれプリントを受け取ると、そこには七十四点と記されていた。
HUCに対する声掛けや要救助者の安全を守った事については高く評価されていたが、敵(ヴィラン)との戦闘においての評価は低かった。今回の試験の形式が救助面についても評価されていたからこその合格だった。戦闘メインの試験であれば合格は出来なかっただろう。
参加者全員がプリントに目を通した所で、再び目良さん今後合格者がどう有るべきか、どうすべきかを語った。
『そして…えー、不合格となってしまった方々。点数が満たなかったからとしょげてる暇はありません。君たちにもまだチャンスは残っています。』
三ヶ月の特別講習受講後、個別テストで結果を残せば仮免許を発行するという事だった。
『学業との並行でかなり忙しくなるとは思います。次回四月の受験で再挑戦しても構いませんが────…』
その問いに爆豪くんは当然と答えた。
こうして、無事ヒーロー仮免許取得試験を終了した。