第5章 ヒーロー仮免許取得試験
「爆豪くん、切島くん、上鳴くん!」
三人の姿を見つけ、三人の元へ駆け出した。
最初に出会ったHUCの二人組を安全な場所に連れ出したら三人と合流するつもりだったのに、結局合流出来ず試験終了となってしまった。
「良かった。三人共怪我してなくて。」
爆豪くんなら真っ先にギャングオルカの元にすっ飛んで来ると思ってたけど、試験終了まで爆豪くん達はギャングオルカの元へ来なかった。多分、救助を行っていたスペースが遠かったのだろう。敵(ヴィラン)と交戦した受験生達は何かしら怪我を負っていたから、三人に怪我が無いと分かって安心した。
「オイ!橘!すげー血、出てっぞ!」
「あー…うん。でも見た目程大した事無いの。全然痛くないし。」
私の右肩を見て、爆豪くんの表情は険しくなった。
「テメェ、なんでそんな怪我してんだよ!アイツらを安全な場所に連れてくだけっつったから、一人にしたのになんだそのザマは!」
「ちょっとした不注意で…。」
「…っざけんな!」
爆豪くんに左手を握られ、人気の少ない場所へと連行された。
「ちょ…爆豪くん…!今から合格発表だから早く着替えなきゃ。」
「…なんで…テメェは…!クソっ!」
愁色を浮かべた爆豪くんに抱き締められた。爆豪くんの今にも泣き出してしまいそうな表情に心がざわついた。
「二回もお前を失ってたまるかよ…!」
「ばく…ごう、くん?」
爆豪くんの体が私から離れると、悲しげな顔は一転。眉間に皺を寄せ、いつも通り不機嫌な爆豪くんだった。
「テメェ、個性で痛覚に関する記憶消してんだろうが!たったと個性解けや!医務室行くぞ!」
再び爆豪くんに手を引かれ医務室へと向かった。医務室で個性を解除すれば、激しい痛みが体を蝕んだ。どうも肩の骨が折れていたらしく、止血と固定をしてもらい、学校に帰ったらリカバリーガールに見てもらうという事になった。