第2章 正しき社会のために
ステインが逮捕され数日、敵連合、エンデヴァー、七人のヒーロー、高校生三人、その件について一人調べたが、中々めぼしい情報が手に入らない。手に入ったのは、偶然テレビ局が捉えた敵連合と思われる二人の男の映像と、ステインが逮捕前に敵(ヴィラン)に攫われた高校生を助けた映像。その後者の映像は一般人が撮影した物なのか、肝心のその場にいたヒーロー、高校生の顔が識別出来なかった。
『偽物が蔓延るこの社会も徒に〝力〟を振りまく犯罪者も粛清対象だ…全ては正しき社会の為に。』
『贋者…正さねば───…誰かが…血に染まらねば…!〝英雄〟を取り戻さねば!!来い。来てみろ贋者ども。俺を殺していいのはオールマイトだけだ!!』
そう、ステインの言う通り。この世界は偽りで満ちている。正さねばならない。それに気付いた者達の手で。ステインの手で。警察からステインを取り戻し、この腐れ切った社会を正さねばならないのだ。それが出来るのはステインただ一人。それを知っている私が、ステインを救い出さなければならない。
「おやおや、まさかヒーロー殺しにこんな可愛いお仲間がいたとはね。」
突然背後に現れたそれに刀を向けた。
「お前は…!」
私の目の前にいるのは、敵連合と呼ばれた男二人組のうちの一人、黒いモヤのような男。────黒霧だった。