第5章 ヒーロー仮免許取得試験
「…さっきからあんたも大概中傷ひでーからね?効くからやめてほしいんだよね…。」
「それは己に自覚があるからだ。省してくれるなら幸い。」
勢い良く飛び掛ってきた肉塊。この状況下じゃ上鳴くんの個性も私の個性も使えない。でも、だからと言ってただただやられるのを待つワケにはいかない。
「俺の事じゃねえよ。」
飛び掛ってきた肉塊は先程爆豪くんが上鳴くんに渡した爆豪くんの装備により爆破され飛び散った。爆破を逃れた残りの肉塊を刀で切りつけた。
「ところで先輩。良い位置によろけましたね。」
先程外した鉄柱に貼り付けられたポインター目掛け、上鳴くんが指を指すと、士傑生の体に電気が走った。
「ぐあ!!!?」
「ソヤで下水道みてーな奴だけど割とマジメにヒーローやろうとしてますよ。とっさに手榴弾くれたのも打開の為の冷静な判断じゃないスか?それに切島だって…友達の為に敵地乗り込むようなバカがつくくらい良い奴なんスよ。橘も編入したばっかりで、皆に追い付くために誰よりも努力してる。断片的な情報だけで知った気んなって…こいつらディスってんじゃねえよ!!」
「立場を自覚しろという話だ馬鹿者が!!!」
士傑生の意識は完全に上鳴くんへと向いていた。そこに個性から逃れた爆豪くんと切島くんが飛び込んだ。激しい爆発音に骨の軋む音が響いた。
「ダメージ次第で解除されちまうんか。どうりで遠距離攻撃ばっかなワケだ。」
「ありがとな上鳴、橘。」
「遅んだよアホ面!!」
復活早々悪態をつく爆豪くん。それに上鳴くんがディスられても仕方ないと反論した。
「三人共…後ろ!」
彼の個性で捕縛されていた受験生達が復活した。もう気は抜かない。ここを乗り越えて、四人で突破するんだ…!