第5章 ヒーロー仮免許取得試験
爆豪くんの個性で吹き飛ばされた肉塊は、彼の元へ戻っていった。
「私が手折り気付かせよう。帰属する場に相応しい挙止。それが品位であると。」
「うるせえ奴だ。ブッ殺す。」
勢いよく飛び出した爆豪くん。それを援護するように遠隔攻撃を仕掛ける。それに続いて私も小型ナイフを放ったが上鳴くんの攻撃も私の攻撃も難無く躱されてしまった。
「飛び道具か…目障りだ。先に丸めてやろうか。」
冷たい視線に足が竦んだ。
「俺を無視すんな!」
爆豪くんが咄嗟に間に入って爆破してくれたお陰で肉塊は再び飛び散った。
また私は助けられてる。戦闘力も経験も低い私がこういう場で活躍出来るとは思っていなかった。けど、こうもクラスメイトに守られ乍試験に挑む事になるなんて、この先私はやっていけるのだろうかという不安に駆られた。
「あ…!爆豪くん!」
爆破されなかった肉塊が背後から爆豪くんの肩に触れた。
「さて…先程切島で見たであろう。その肉は触れたら終わりだ。」
小さかった肉塊は瞬く間に爆豪くんの体を包み込んだ。
「情けなし。出直してくるがいい。」
「爆豪くんっ!」
切島くんの時といい、爆豪くんの時といい、私は何をしてるんだ。
「これは示威である。今試験は異例の少数採用。オールマイトが引退し時代は節目。本来であればヒーローは増員して然るべきではないか?即ちこれらが示唆するは有象無象の淘汰。ヒーローという職をより高次のモノにする選別が始まったと推察する。私はそれを賛助したくこうして諸君らを排している。」
何それ…?何の権限があって同じヒーローを志す貴方がそれを遂行するの?
上鳴くんも私と同意見だったらしく、それをおかしいと口した。
「徒者が世に憚る方がおかしい。」
その意見については私も同じ考えだ。けど、それを粛清するのは貴方みたいな人じゃない。
「ちなみにこの姿でも痛覚等は正常に働く。放電は皆も傷つけるぞ。上鳴電気。」
「…貴方じゃない。それを正すのは貴方じゃない!」
「試験に参加し乍、終始足で纏い。そんな実力でヒーローを志すなど笑止。」