第5章 ヒーロー仮免許取得試験
「橘!」
不意に名前を呼ばれ、切島くんに思い切り突き飛ばされた。
第一の危機を突破し、少し気が緩んでいた。これが授業だったなら私は爆豪くんに怒鳴り散らされていただろう。
「切島くん!」
私を庇って他校性からの攻撃を受けた切島くん。切島くんは謎の物体に体を覆われ、見る見るうちにその塊に覆われていった。あの帽子…士傑高校…!
丸まった切島くんを片手で持ち上げる士傑生。ぶよぶよと動くものの、切島くんはその捕縛を解けそうな気配は無い。捕縛と言っても、最早それに切島くんの面影は無い。それを見て上鳴くんは緑谷くん達の方に行けば良かったと嘆き、爆豪くんは行けやカスと声を荒らげた。
「行けるワケねーだろ!!だって…切島があんなんなっちゃったんだぞ!!?」
私のせいだ…。私が周囲への警戒を怠っていたから…。
「私のせいだ…。」
「いや、橘の事責めてるワケじゃねーよ!」
自分を責めた所で切島くんが元に戻るワケじゃ無い。士傑高校について淡々と語る彼を倒さない限り個性は解除されない。
「嫌いなタイプだ。」
「何つったあの人!?頭に入ってこねー!」
「目が細すぎて相手の実力が見えませんだとよ。」
「ちょっと爆豪くん…!」
「私の目は見目好く最大である!!」
コンプレックスに触れてしまったのか、彼は怒りを露わにした。
そして雄英を尊敬してると言ったが、それに次いで、私達は品位を貶めてると。背中から肉塊のようなものが飛び出してきた。
「責務?矜持ィ?ペラペラペラペラと…口じゃなくって、行動で示して下さいヨ、先パイ!」
「特に貴様だよ!!爆豪!!!」
爆豪くん目掛けて飛んできた肉塊は爆豪くんの爆破の徹甲弾機関銃(A・Pショット・オートカノン)によって吹き飛ばされた。