第5章 ヒーロー仮免許取得試験
先着で合格なら一かたまりで動こうと提案した緑谷くん。
「フザけろ。遠足じゃねえんだよ。行くぞ玲奈。」
「え?」
私の手を引いてクラスの輪から外れた爆豪くん。それを慌てて追いかけてくる切島くん。
「おい、爆豪!勝手に行動すんなよ!緑谷の言うように、ここは一かたまりで動いた方が良くねえか?」
「そう思うならテメェもデクん所に行きゃいいだろうが!」
「おーい待てよ爆豪!切島!橘!」
私達の名前を呼びながら、上鳴くんも私達の方へやって来た。
「んで、お前までついてくんだよアホ面!」
「そう堅い事言うなよ爆豪。」
カウントダウンが始まり、試験開始を告げるコールが館内に響いた。そして、そのコールと共に一斉に他校性に囲まれた。
「ゲ!初っ端からマジかよ…!」
「俺の前に立つんじゃねえよ!」
向かってくるボールを爆破しても次から次へと遠隔攻撃を仕掛けられる。このメンバーだと遠隔攻撃が出来るのは爆豪くんのみ。上鳴くんも遠隔攻撃が出来ない訳じゃ無いらしいけど、放電した後は、行動不能になるらしいから、大勢で攻めてこられると、爆豪くん頼りになってしまう。
「…ごめんなさい!私、足で纏い…!」
「ンなことは最初から分かってるっての!」
事実ではあるが、こうも肯定されると少し傷付く。私は皆より雄英で学んできた期間も短いし、経験も足りない。
「そこをカバーし合うのがチームだろ!」
「そうそう!橘は俺が守るから、大丈夫!」
「は!?アホ面、調子乗ってんじゃねーぞ!」
せめて三人の足で纏いにならないように。…大丈夫。動く。緊張で足が竦んで動かない訳じゃ無い。
なんとか最初の奇襲を防ぎ事なきを得たが、まだ誰も条件を満たせていない。幸いなのは、今ので誰もボールを当てられなかった事だ。