第4章 欠落した記憶
「あの…爆豪くん。さっきの、」
「うるせえ!出てけ!」
切島くんを追って部屋を出て行った爆豪くんは暫くすると部屋に帰ってきた。さっきの行動の真意を知りたくて、それを聞こうと口を開けば、部屋を放り出された。
さっきのは、キス…だよね?先程の爆豪くんとのキスを思い出すと、自然と顔が熱くなった。なんだこれ。妙にドキドキする。いや、それもそうか。だって、私、爆豪くんとキス…した。私達はただの幼馴染みで、クラスメイト。なのに、なんでキス?勉強教えてくれたり、サンドイッチ作ってくれたり、優しい所もあるけど、怒鳴ったり、強引に引っ張り回したり、その優しさを打ち消す以上な暴君っぷり。嫌われては無いのかもしれないけれど、好かれてるとも思えない。となると、さっきのキスは五月蝿い私の口を塞ぐためだったのだろうか。そう思うと、妙に納得出来たがそれ以上に落胆してしまう自分がいた。
翌朝もキスの事なんてまるで無かったかのように今まで通り接してくる爆豪くん。そんな爆豪くんを見て、やっぱり昨日のキスに特に意味なんてなかったのだと感じた。ただ、爆豪くんとキスをしてる所を見た切島くん一人だけが、私の顔を見ると、顔を赤らめ、よそよそしく、そして避けるように慌てて逃げていくもんだから、どうしたものかと頭を悩ませた。