第4章 欠落した記憶
目を開けると、今朝同様不安そうな顔で私の顔を覗く爆豪くんがそこにいた。
「あれ?なんで…?」
体を起こし、辺りを見渡すと、そこは私の部屋では無く、爆豪くんの部屋だった。
「おい、もう何ともねえのかよ?」
「え?」
「お前ぶっ倒れたんだぞ!」
放課後、校長先生に話を聞く為に爆豪くんと校長室へ行った。そこで死んだ両親の話を聞いて…どうしたんだっけ?
「…覚えてねえのかよ?」
「…うん。」
爆豪くんは、深い溜息を吐いた。
「お前、何か思い出したんじゃねえの?」
「…分かんない。」
「分からないって、あの時のお前普通じゃなかっただろうが!写真見ただけであんなに取り乱して!」
「写真…?」
「お前を助けに来たって言うヒーローの!」
その言葉に心臓が激しく動いた。
「…違う。誰も助けてなんかくれなかった…。」
自分の意思と無関係に言葉を連ねる。
「助けてって言ったのに、誰も助けてくれなかったじゃない!」
枕元にあった目覚まし時計を投げると、爆豪くんの頬を掠め、それは壁に当たって落ちた。