第4章 欠落した記憶
そう言われ、緑谷くんと共に緑谷くんの部屋へ向かった。部屋お披露目大会の時は、ポスターでいっぱいだな、位にしか思わなかったけど、このポスターは先生でもあるオールマイト先生がビッシリと張り巡らされていて、オールマイト先生との面識もある今、何だかオールマイト先生にずっと見られてるような気がして落ち着かなかった。けど、緑谷くんは毎晩オールマイト先生に見られ乍寝てるんだよな…なんて思うと、なんだか凄く不気味な光景に思えて仕方なかった。
「これなんだけど。」
そう言って緑谷くんが本棚から取り出したのはアルバムだった。渡されたアルバムを捲ると、そこにいたのはまだ幼い緑谷くん、爆豪くん、そして私だ。泥だらけになって笑ってる写真や、ヒーローの真似事なのか、マントをつけてポーズを取ってる写真。転けて泣いてる写真と、その写真に写る私達は仲が良さそうだった。
「…本当に、幼馴染みなんだね。」
「うん、そうだよ。」
「皆個性に目覚めるまでは本当に仲良くって、三人で毎日遊んでたんだよ。」
「個性に目覚めるまで…?」
「僕、無個性でさ、それをかっちゃんにからかわれてて、その度に玲奈ちゃんが、いっちゃんを虐めないでって庇ってくれててさ。小さい頃の事とは言え、女の子に守られるなんて情けないよね。」
緑谷くんは自身の事を〝無個性〟だと言った。けど、授業を見る限り、緑谷くんにはちゃんと個性がある。
「緑谷くん、個性…あるよね?」
「えっと、この個性は、最近になって目覚めたんだ。」
「…そんな事もあるんだ。」
個性の発生は四歳まで。だから、それまでに個性が出現しない場合、その人は無個性な筈なのに、例外もあったらしい。