第4章 欠落した記憶
「そこまでだA組!!!今日は午後から我々がTDLを使わせてもらう予定だ!」
現れたのは同じくヒーロー科である隣のクラスのB組だった。休み時間教室から滅多に出る事の無い私。B組の会うのは初めてだった。同じくヒーロー科という事だけあって、その雰囲気はA組と同じような雰囲気だ。
「ねえ知ってる!?仮免試験って半数が落ちるんだって!A組全員落ちてよ!!」
一件、爽やかそうな男の子からは、ヒーローを目指すには相応しくない、そんな言葉が漏れた。こんな奴がいずれヒーローになるって言うの…?
仮免試験はA組とB組、別会場で申し込みをすると聞くと、直接手を下せないのが残念だと笑った。
「…なんで貴方みたいなのがヒーロー目指してんの?貴方みたいなのがいるからヒーローの品格が落ちるのよ。…貴方はヒーローじゃない。名声や金に溺れた薄汚い贋者よ。」
「は…!?」
「玲奈ちゃん!?」
「見ない顔だね。君が噂の編入生?編入して間もない筈なのすっかりA組の色に染まってるね。相変わらずA組は神経を逆撫でするような奴ばっかりだな。」
彼の言葉に腹が立って口を挟まずにはいられなかった。黙っておけばことを荒立てずに済んだのに、どうしても口を挟まずにはいられなかった。
「玲奈ちゃん、落ち着いて。ね?」
私とB組の彼の間に割って入る緑谷くん。ここで言い合ったって何の意味を持たない事なんて分かってる。でも、どうしても彼が許せなかった。
ヒーローに対して何の魅力も感じない。だからどんな奴がヒーローになろうと関係ないし興味もない。なのに、どうしてこんなにも憤りを感じるのだろうか。