第4章 欠落した記憶
「あ、オイ上!」
怒声じゃない爆豪くんの叫び声がTDLに響いた。爆豪くんの個性により爆破された岩が、オールマイト目掛けて落下。それに咄嗟に相澤先生が反応する。嘗てはNo.1ヒーロー、平和の象徴と言われたオールマイト先生。だが、私が救出された、神野の悪夢と呼ばれるあの事件で致命傷を受けたオールマイト先生はヒーローを引退し、今は何の個性も持たない一般人。そんなオールマイト先生にアレが直撃すれば怪我じゃ済まされない。命に関わる。
「オールマイト先生!」
物凄い速さの何かがオールマイト先生と落下してきた岩の間に割って入り、その岩を砕いた。
「大丈夫でしたか!?オールマイト!」
岩を砕いたのは、緑谷くんだった。蹴りであんな大きな岩を砕けるなんて凄い…。それに驚いたのは私だけでなく、クラスメイトもそうだった。
「爆豪少年!すまなかった!」
「気イ付けろや、オールマイトォ!」
そう言って、激しい爆発音が響いた。多分、怒ってるのだろうけど、その怒りは何処かいつもと違うような気がした。