第4章 欠落した記憶
戦闘におけるスタイルの定まった私は、コスチューム改良の為に開発工房を訪れた。爆豪くんにも言われた、このピッタリと体のラインに沿ったコスチュームをどうにかして欲しいのもあったが、刀で戦うにしても、距離を詰め、接近戦に持ち込むには、刀一つではどうしようもなかった。轟くんのように遠距離からの攻撃を得意とするよな敵(ヴィラン)相手じゃどうしようもないからだ。
パワーローダー先生にコスチュームの件を伝えると、それはデザイン事務所に直してもらわなければならないらしく、三日程時間を要するらしい。けど、具体的にどうデザインを変えて欲しいか考えが纏まっておらず、取り敢えずデザインの件は保留となった。
「私の戦闘スタイルだと、遠距離戦を得意とする敵(ヴィラン)と相性が悪いので、遠距離からも攻撃出来るスタイルに出来たらいいな、って思ってるんですけど。」
「君の個性は〝記憶操作〟だったね。その個性じゃ個性によって間合いを云々って訳にはいかないね。」
「飛び道具とかは全然上手く扱えなくて…。けど、刃物だったらある程度は扱えるんです。なので、小型ナイフとかを投げて間合いを詰めるだとかがベストだと思ってるんですが。」
「まあ、そうなるね。」
「下肢にナイフを仕込めますか?」
「それ位なら此処で出来るよ。」
「それじゃあ、お願いします。」
頭の中で思い描くヒーローの姿。なんとなく思い浮かぶのは、緑谷くんの部屋にあったヒーロー、平和の象徴オールマイトではなく、別の人の姿。それが誰なのか分からないし、ヒーローなのか、はたまた実在する人なのかも分からない。ヒーローついては皆が抱いてるような感情は持てないけど、不思議となりたい自分は思い描くことが出来た。
ナイフを体のあらゆる場所に携えたヒーローなんて、見栄えは悪いかもしれない。でも、これでいい。私はこれでいい。