第4章 欠落した記憶
「あの…ば、くご、う、くん?」
「いいか、俺以外の奴と仲良くしようとなんて思うなよ。」
「…なんで?」
「ムカつくからに決まってんだろーが!」
私と爆豪くんは幼馴染みで、仲が良かったと聞いていたが、それは嘘だったのだろうか。鬼の様な形相で怒鳴る爆豪くんの姿が恐ろしくて、仲が良かったなんて思えないし、思いたくもない。一体以前の私はこんなに怒り狂う爆豪くんとどうやって接していたというのだろうか。
「おい、爆豪、何やってんだ?」
「切島くん…!」
切島くんに声を掛けられ、離れた手。その一瞬の隙をついて、緑谷くんの元に走った。そして、緑谷くんを盾にするようにして、緑谷くんの背中へと隠れた。
「爆豪くん!公共の場で女性とそのような行為に至るのは如何なものかと思うぞ!雄英学園ヒーロー科の生徒としての誇りを常に持たなくてはならないのに、君は一体なにをしようとしてたんだ!如何わしいぞ!」
そう言って委員長である飯田くんに注意を受けた爆豪くんは、うるせえと一喝し、緑谷くんの背中に隠れた私の手を掴み、今朝同様無理矢理連れていかれそうになった。
「かっちゃん!玲奈ちゃんが怖がってるじゃないか!」
反対側の手を緑谷くんに掴まれた。
「誰の許可を得て玲奈に触ってんだ!ぶっ殺すぞ!」
強い力で爆豪くんにひっぱられ、結局私は爆豪くんに手を引かれ、今度は私の部屋に連れて行かれた。その間、爆豪くんが怖くて何も言えなかった。