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【MHA】DELETE

第4章 欠落した記憶


 特に体に異常もなく、私は退院となった。そして、喋るネズミこと、根津校長先生に迎えられ、ひと足早く雄英の寮へ入寮する事となった私。編入時には体力測定をするのが決まりならしく、私はそれを受けた。そして全ての体力測定が終わった時、校長先生と一緒にいた相澤先生に刀を渡された。


「対人試験だ。」


 初めて手にする凶器。なのに、何故かそれはしっくりと手に馴染んだ。なんでもその刀は私が唯一所持していた持ち物ならしい。校長先生のはじめ!という合図で襲い掛かってくる相澤先生。不思議と体が動く。人様に刀を向けるなんて。そう思ったのに、体は萎縮する所か自然と動く。以前の私は武術の心得があったのだろうか?…分からない。
 何かを見定めるように攻撃を仕掛けてくる相澤先生の目は怖かった。だがその対人試験とやらも五分程度で終わり。校長先生にお疲れ様、今日は疲れただろう?ゆっくり休みなさいと声を掛けられ、与えられた部屋へと戻った。支給されたベッドに横になり色々考えたがやっぱり何も思い出せない。そして先程手にしていた刀に目をやると、不思議と温かい気持ちになる。


「…私、何をしてたんだろう?」


 その答えは私以外誰も知らない。でも唯一答えを知っている私は記憶を持たない。
 ふと先日病室を訪ねてきた二人の顔を思い出す。女性の方はお母さんの友人で、昔近所に住んでたらしく、幼かった私と面識のある女性。そして一緒に来ていた男の子。爆豪勝己くん。その人の子供で私とは幼馴染みになるらしい。なんでも小さい頃は仲が良く、もう一人の幼馴染みである緑谷出久くんという男の子と三人でよく遊んでいたらしい。


『何も思い出せないんです、ごめんなさい。爆豪くん。』


 そう言った私を見て爆豪くんは悲しそうな顔をした。彼のその表情を思い出す度に苦しくて胸が張り裂けそうになる。本当に私達はただの幼馴染みだったのだろうか?

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