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【MHA】DELETE

第4章 欠落した記憶


「そしてそんな二人から産まれた君も珍しい個性だった。君の個性が発覚してすぐに君のお母さんが連絡をくれたよ。子供を守って欲しいと。」


 母から連絡を受けたという喋るネズミは、私を守る為に保護制度のある学校への手引きをしてくれたという。小学校、中学校。そして高校と。けど、私が中学三年生の時、何処から情報を手に入れたのか、敵(ヴィラン)が家を襲ったらしい。そこで父と母は敵(ヴィラン)に殺されたという。だけど私の死体は出てこず、失踪扱い。その後、私の痕跡を辿って辿り着いた現場で見つかった敵(ヴィラン)の遺体と一人のヒーローの遺体。そこで完全に私の消息は分からぬまま一年半の歳月が流れ、敵連合という組織のアジトにて私が見つかったらしい。そこでヒーローに保護された私は病院に運ばれ、今に至るという。


「きっと私達が想像を絶するような事があったんだろう。君の記憶が欠落しているのは自身を守る為に自分に個性をかけたものなのか、それともショックによる一時的な記憶喪失なのか私らには分からない。遅くなってすまなかった。今度こそ君を守らして欲しい。」


 こうして私は退院後に雄英の普通科に編入する事が決まった。帰る家もない、身寄りない私。普通なら不安に思う事なのだろうが、何故か私は落ち着いていた。記憶が無い事も不思議と不安に思わなかった。
 喋るネズミが帰った後、一人の女性と男の子が私を訪ねてきた。私を見るなり抱き着いてきた女性。それにどう反応していいか分からなかった。多分、この人は記憶を無くす前の私を良く知る人なんだと思う。


「…玲奈。」


 私の名前を慈しむように呼んでくれた彼に何故だか心が締め付けられるような感覚がした。


「えっと、ごめんなさい。どちら様ですか?」


 そう私が口にすると、泣いてしまいそうな表情を浮かべる彼の顔を見て私も泣きたくなった。記憶を無くした事に対して何の不安もなかったのに、どうして貴方のそんな表情を見ただけで私はこんなにも苦しくなったのだろう。貴方は私にとってどんな存在だったの?


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